EA(自動売買)というと、「インジケーターを組み合わせて作るもの」というイメージを持っている人が多いかもしれません。
ですが、実際の開発現場では違います。
EAはロジックではなく“仮説”から始まります。
今回は、実際に私たちが開発したEA「GENESIS」の初期設計をもとに、EAがどのように作られていくのか、そのリアルな過程を解説していきます。
ロジックは後、最初に考えるのは「市場の癖」
GENESISの開発は、いきなりエントリールールを考えるところからは始まっていません。
最初にやったのは、「どんな相場の癖を取りにいくか」これだけです。
具体的には、
・レンジが続いた後にブレイクが起きやすい
・特定時間帯で値動きが偏る
・ボラティリティが急増するポイントがある
こういった再現性のある現象”を見つけることからスタートしました。
ここを飛ばしてロジックを作ると、後からいくら調整しても勝てません。
これは凜やAXISを作った時にも同じで、最初の仮説の精度がすべてを決めます。
GENESISは「BOXブレイク」に絞った理由
GENESISは最終的にGBPUSD・M15のBOXブレイクアウト戦略になりました。
なぜここに絞ったのか。
理由はシンプルで、「検証した中で一番崩れにくかったから」です。
実は開発初期、他にもいくつかのパターンを検証しています。
・トレンドフォロー系
・逆張り
・時間足の変更(M5やH1)
ですが、どれも長期で見ると安定しませんでした。
一方でBOXブレイクは、
・勝率は低めでも伸びる
・相場環境が変わっても一定の再現性がある
という特徴があり、「長く使えるロジックになり得る」と判断しました。
ここが重要で、「強いロジック」ではなく「壊れにくいロジック」を選ぶ
これがEA開発の基本です。
ロジック設計で最も重要なのは「捨てること」
EA開発で初心者がやりがちなのが、
・フィルターを増やす
・条件を細かくする
・勝率を上げようとする
この方向です。
ですが実際の開発では逆です。
GENESISでもかなりの数の条件を削りました。
なぜかというと、条件を増やす=過去に最適化しているだけだからです。
いわゆるカーブフィッティングですね。
実際、開発中に「ここでフィルター入れればPF上がる」という場面は何度もありました。
ですが、そのほとんどは採用していません。
理由は一つ、未来で機能する保証がないからです。
この判断ができるかどうかで、EAの寿命は大きく変わります。
3つのEA開発で見えた「共通パターン」
GENESIS・凜・AXIS
この3つを開発して、はっきり見えたことがあります。
それは、最初に考えた軸は最後まで変わらないということです。
例えば、
・GENESIS → ブレイクを取る
・凜 → アノマリー
・AXIS → トレンドフォロー
開発途中でいくら調整しても、この根本は一切変えていません。
逆にここをブレさせると、一気に“何をやっているEAかわからなくなる”んですよね。
AXISの開発中に、ロット可変を試したことがありました。
結果はうまくいかず、最終的に固定ロット+偶数ロットに落ち着きました。
これも「軸を守るための修正」です。
また、凜では祝日対応を組み込もうとしましたが、過去検証では有効でも実戦で機能しないと判断して不採用にしています。
このように、良さそうでも切る”判断ができるかどうか
これが開発者として一番重要なスキルです。
ロジック設計のゴールは「完成」ではない
ここまで読んでいただくとわかると思いますが、ロジック設計はゴールではありません。
むしろスタートです。
GENESISもこの段階ではまだ、
・エントリー精度が粗い
・ドローダウンの想定が甘い
・実運用に耐えない
という状態でした。
ここから
・バックテスト
・フォワードテスト
・パラメータ調整
を経て、やっと“使えるEA”になっていきます。
まとめ
EAは「思いつき」ではなく、仮説 → 検証 → 削る → 残すの繰り返しで作られます。
GENESISのロジック設計で一番意識したのは、
・再現性があるか
・長期で崩れないか
・余計なものを足していないか
この3つだけです。
逆に言えば、ここがズレているEAはどれだけ見た目が良くても長くは使えません。
次回は、実際にこのロジックをどう検証していったのか、バックテスト編を解説していきます。
【関連記事】EAの評価に関する重要記事
EAを評価する際は、プロフィットファクター(PF)だけでなく、最大ドローダウン(DD)や取引回数など複数の指標を総合的に確認することが重要です。まずはこちらの記事をご覧ください。
