EA-LabがEAを増やすより”深める”を選ぶ理由|開発思想と品質へのこだわり

EA-Labには、意図的に選んでいることがあります。

EAを増やさない、ということです。

FX自動売買の世界では、EAの数が多いほど「すごいサービス」に見えます。10本、20本、50本と並んでいるサイトはたくさんあります。

EA-Labが公開しているEAは現在3本です。GENESIS・凜・AXIS。

この3本に絞っているのは、リソースが足りないからでも、開発力が低いからでもありません。

「数より深さ」を選んでいるからです。

この記事では、EA-Labがなぜその選択をしているのか、開発思想と品質へのこだわりを正直にお話しします。

EA販売サイトの「数の競争」に違和感を感じた理由

EA-Labを立ち上げる前から、FX自動売買の世界を見ていて感じていた違和感がありました。

それは「EAの数=信頼性」という空気です。

販売サイトを見ると、数十本のEAが並んでいます。新しいEAが毎月リリースされます。「今月の新作EA」という打ち出し方をしているサイトもあります。

しかしよく考えると、疑問が出てきます。

1本のEAをフォワードで十分に検証するには最低3ヶ月、理想は1年以上かかります。毎月新作をリリースしているとしたら、そのEAは本当にフォワードで検証されているのでしょうか。

バックテストだけで「完成」としていないでしょうか。

EA-Labでは、この疑問を出発点に開発方針を決めました。

「リリースするEAは、フォワードで自分達が納得できるものだけにする」

これがEAを増やさない最初の理由です。

GENESIS開発で学んだ「完成の難しさ」

GENESISの開発を始めたとき、正直なめていました。

ロジックのコンセプト自体はシンプルです。レンジを形成してブレイクしたらエントリーする。これだけです。

しかし実際にコードに落として、バックテストを回して、問題が次々と出てきました。

ダマシによる連敗。フィルターを強めると取引数が激減する。SLを狭めるとノイズで刈られる。SLを広げるとDDが膨らむ。

「PF・DD・取引回数の三角形」という問題に直面して、この3つのバランスを取るだけで膨大な時間がかかりました。

バックテストでようやく納得できる数値が出た。次はフォワードです。

フォワードに入ると、また別の問題が出てきます。バックテストで見えていなかったスプレッドの影響、約定タイミングのズレ、想定外のDD。

GENESISは今もフォワード運用を継続しながら改良を続けています。

「このEAは完成した」と言える日が、実はまだ来ていません。

これがEA開発の現実です。1本のEAを本当の意味で「完成」させることがどれだけ難しいかを、GENESISの開発で身をもって知りました。

凜・AXIS開発で見えてきた「ポートフォリオの思想」

GENESISの開発経験があったから、凜とAXISは最初からポートフォリオとして設計しました。

3本のEAはそれぞれ意図的に異なる設計にしています。

  • GENESIS:BOXブレイクアウト型(GBPUSD / M15)
  • 凜:アノマリー型(USDJPY / M5)
  • AXIS:トレンドフォロー型(EURUSD / M15)

ロジック・通貨ペア・時間足、全て異なります。

これは相場環境への分散です。GENESISが苦手な局面で凜が機能する。凜が動かない時間にAXISがトレードする。3本を組み合わせることでポートフォリオ全体のDDを安定させる設計です。

ただしここで重要なのは、闇雲に本数を増やしても分散にはならないということです。

同じロジック系統のEAを3本並べても、同じ相場環境で同時に負けます。通貨ペアが違っても、相関が高ければ分散効果は薄れます。

EA-Labが3本に絞っているのは、この3本で「ロジック・通貨ペア・時間足の分散」が一定レベルで実現できているからです。意味のある4本目が設計できるまでは、むやみに増やすつもりはありません。

「深める」とは何をすることか

EAを増やさず深めるとは、具体的に何をすることか。

EA-Labでは主に3つのことを継続しています。

①フォワードの継続的な確認と改良

GENESISは現在もフォワード運用中です。バックテストとフォワードの乖離が出た場合、その原因を分析してロジックを調整します。「作って終わり」ではなく、動かし続けながら育てていく運用です。

②バックテストデータの更新

相場は変化します。過去5年間のデータで検証したEAも、1年後には新しいデータで再検証が必要です。ロジックが今の相場にも通用しているかを定期的に確認します。

③ロジックのシンプル化

EA開発では「条件を追加して精度を上げたい」という誘惑が常にあります。しかし条件を増やすと過剰最適化のリスクが上がります。EA-Labでは「不要な条件を削る」という方向で改良を続けています。凜の開発で祝日前倒しトレード機能を不採用にした判断も、この思想から来ています。

これらは地味な作業です。新しいEAをリリースするより、ずっと地味です。

しかしこの地味な継続こそが、長期運用に耐えるEAを維持する唯一の方法だと考えています。

EA-Labの開発目標が「PF1.2前後」である理由

EA-Labの開発目標はPF1.2前後・最大DD10%未満です。

これを見て「低すぎる」と感じる方もいると思います。販売サイトにはPF3.0以上・月利30%以上のEAが並んでいます。

正直に言います。

PF3.0以上のEAは、ほぼ全て過剰最適化です。

過去データに完璧にフィットさせれば、バックテストでどんな数値でも作れます。PF5.0でも10.0でも作れます。しかしそれはフォワードで再現されません。

EA-LabがPF1.2前後を目標にしているのは、これが長期フォワードで再現可能な現実的な水準だからです。

地味に見えても、PF1.2が5年・10年と安定して出続けるEAの方が、PF3.0で1年後に崩れるEAより圧倒的に価値があります。

EA-Labが「数より深さ」を選ぶのは、この考え方と一致しています。派手な数字を並べるより、現実的な数字を長期で維持することを優先しています。

PFの正しい見方についてはこちらで詳しく解説しています。

フォワードを全公開している理由

EA-LabではGENESISのフォワード結果を公開しています。凜・AXISは現在設定調整中で一時停止していますが、近日再開予定です。

フォワードを公開している理由はシンプルです。

「隠す理由がないから」です。

バックテスト結果だけを公開して、フォワードを見せないEAは何かを隠している可能性があります。フォワードで結果が出ていないか、出ているけど見せられないか。どちらにしても、買い手にとって不利な情報が隠されています。

EA-Labのフォワード結果が常に好調とは限りません。DD局面もあります。パフォーマンスが落ちる月もあります。

それも含めて全部公開します。

なぜならEAの本当の実力はDD局面を含めた長期の動きで判断するべきだからです。調子の良い期間だけを切り取って見せるのは、EAの実力を正しく伝えていません。

フォワードテストについてはこちらで詳しく解説しています。

EA-Labが目指しているサイトの姿

EA-Labはアフィリエイトサイトでも、EA量産販売サイトでもありません。

「自分たちが本当に使えると判断したEAだけを、正直な情報とともに提供するサイト」を目指しています。

記事では開発の失敗談も書きます。バックテストとフォワードの乖離も書きます。EAがうまくいかなかった経験も書きます。

それは、EA-Labが「開発者として実際にEAを運用している立場」から情報を発信しているからです。

きれいな部分だけを見せても、読者の役には立ちません。EAのリアルを知ってもらうことが、EA-Labの存在意義だと考えています。

EAを選ぶ際の基準についてはこちらも参考にしてください。

また、バックテストの見方についてはこちらで解説しています。

まとめ

EA-LabがEAを増やすより深めることを選んでいる理由をまとめます。

1本のEAをフォワードで十分に検証するには時間がかかります。GENESISの開発で、その難しさを身をもって学びました。

3本のEAはロジック・通貨ペア・時間足の分散が実現できる構成として設計されています。意味のある分散ができる4本目が設計できるまでは増やしません。

PF1.2前後・DD10%未満という地味な目標は、長期フォワードで再現可能な現実的な水準として設定しています。

フォワードは全公開します。DD局面も、パフォーマンスが落ちる期間も、全て含めて公開するのがEA-Labのスタンスです。

派手さより誠実さ。数より深さ。

この方針はこれからも変わりません。

【関連記事】EAの評価に関する重要記事

EAを評価する際は、プロフィットファクター(PF)だけでなく、最大ドローダウン(DD)や取引回数など複数の指標を総合的に確認することが重要です。まずはこちらの記事をご覧ください。

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