EA(自動売買)を始めると、多くの人がロジックや勝率、月利などに注目します。
しかし実際に運用していると、ある重要な要素が見落とされがちです。
それが「スプレッド」というコストです。
裁量トレードでもスプレッドは重要ですが、EAではそれ以上に重要になるケースがあります。
今回は、EA開発と検証を進めてきた経験をもとに、
- EAにおけるスプレッドの重要性
- なぜEAでは特に影響が大きいのか
- 実際の運用で意識すべきポイント
を解説します。
そもそもスプレッドとは
スプレッドとは、買値(Ask)と売値(Bid)の差のことです。
簡単に言うと、トレードをした瞬間に発生する実質的な取引コストです。
例えば
- EURUSD スプレッド 1.0pips
この場合、
・買った瞬間に −1.0pips
・売った瞬間に −1.0pips
の状態からスタートします。
つまりトレードは、常にマイナスからスタートするゲームです。
そのため、スプレッドが広いほどEAの利益は削られていきます。
EAではスプレッドの影響が大きくなる理由
EAでスプレッドの影響が大きくなる理由は、非常にシンプルです。
取引回数が多いからです。
裁量トレードなら
・月5回
・月10回
という人も多いでしょう。
しかしEAの場合、
・月30回
・月100回
・月300回以上
という取引数になることも珍しくありません。
例えば
スプレッド
0.5pips差
取引回数
月200回
この場合
0.5 × 200 = 100pips
年間だと
1200pips
もの差になります。
これはEAの成績を大きく変えてしまうレベルです。
EA開発で実感した「スプレッドの壁」
EA-Labでは、これまでに
- GENESIS
- RIN
- AXIS
という3つのEAを開発してきました。
バックテストを繰り返していると、あることに気づきます。
「同じロジックなのに結果が変わる」
原因を追っていくと、かなりの確率で関係しているのがスプレッドでした。
例えばバックテストでは
スプレッド
1.0pips
で検証していても、実際の環境では
- 1.5pips
- 2.0pips
になることがあります。
これだけで
・勝率低下
・PF低下
・ドローダウン増加
といった変化が起きることがあります。
つまりEAの性能はロジックだけで決まるわけではないということです。
スプレッドがEAに与える具体的な影響
スプレッドは、次の3つに直接影響します。
① 勝率
スキャルピング系EAでは特に顕著です。
例えば
利確
5pips
スプレッド
1pips → 2pips
この場合、実質利益は
5 → 3pips
になります。
つまり利益幅の40%が消える計算になります。
これでは勝率が落ちるのも当然です。
② プロフィットファクター
PF(プロフィットファクター)は
総利益 ÷ 総損失
で計算されます。
スプレッドが広がると
・利益が減る
・損失はそのまま
という状態になるため、PFは確実に下がります。
EAを検証していると、
スプレッド0.5pipsの差でPFが0.1以上変わる
というケースも珍しくありません。
PFについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
③ 最大ドローダウン
スプレッドは地味ですが、確実に資金を削っていくコストです。
そのため長期運用では
・資金カーブの傾き
・最大ドローダウン
にも影響します。
バックテストでは問題なくても、実運用でDDが増える原因の一つがスプレッド環境だったりします。
EA運用でスプレッドを見るときのポイント
EAを運用するなら、次の3つは必ずチェックしておきたいポイントです。
① 平均スプレッド
「最小スプレッド」ではなく平均スプレッドを見ることが重要です。
最小スプレッドはほぼ参考になりません。
実際の運用では
・指標
・ロンドン時間
・NY時間
などでスプレッドは変動します。
② 取引時間帯
EAによっては
・アジア時間
・ロンドン時間
・NY時間
で取引するロジックがあります。
この時間帯によってスプレッド環境は大きく変わります。
③ 取引回数
EAで最も重要なのは取引回数 × スプレッドです。
例えば
・月20回のEA
・月300回のEA
ではスプレッドの重要度がまったく違います。
EAは「ロジック+環境」で成績が決まる
EAを検証しているとよく分かるのですが、EAの成績はロジックだけでは決まりません。
むしろ
- スプレッド
- 約定力
- サーバー環境
- VPS
などの運用環境によって結果が変わることは珍しくありません。
EA-Labでも、3つのEAを開発していく中で「ロジックより環境の方が影響が大きい」と感じる場面は何度もありました。
EAは放置で稼げるというイメージがありますが、実際には環境を整えて初めて安定して動くツールです。
まとめ
EA運用において、スプレッドは軽視できない重要な要素です。
特に
- 取引回数の多いEA
- スキャルピングEA
では、スプレッドの差だけで結果が大きく変わります。
EAの性能を正しく評価するためにも、ロジックだけではなく運用環境も含めて考えることが重要です。
EAは「設定して終わり」ではなく、環境まで含めて設計するものです。
この視点を持つだけでも、EA運用の安定度は大きく変わります。
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EAを評価する際は、プロフィットファクター(PF)だけでなく、最大ドローダウン(DD)や取引回数など複数の指標を総合的に確認することが重要です。まずはこちらの記事をご覧ください。
