EAを探していると、必ず目にするのが「損益曲線(エクイティカーブ)」です。
右肩上がりに伸びているグラフを見ると、
「このEAは勝てそう」
「安定して利益が出ている」
と感じてしまいます。
実際、私自身もEA開発を始めた頃はそうでした。
しかし、GENESIS・AXIS・凜の3つを開発し、何千回ものバックテストやフォワードテストを繰り返してきた今は少し考え方が変わっています。
むしろ、
「綺麗すぎる右肩上がりは疑う」
くらいの感覚になっています。
今回はEAの損益曲線を見る時に、本当に確認すべきポイントについて解説します。
右肩上がりなら安心なのか?
結論から言うと、右肩上がりだけでは判断できません。
例えば次の2つのEAがあったとします。
A:一直線に綺麗な右肩上がり
B:途中で何度も下落しながら最終的に利益
多くの人はAを選びます。
しかし実際にはBの方が優秀なケースも珍しくありません。
なぜなら相場は常に変化しているからです。
本当に強いEAは、
- 得意な相場で利益を出す
- 苦手な相場では負ける
- その後また利益を出す
という流れになります。
つまり損益曲線に多少の波があるのは自然なことです。
逆に10年間ほぼ一直線で上昇しているようなEAは、「その期間のデータに合わせ過ぎている」可能性があります。
いわゆるカーブフィッティングです。
損益曲線が綺麗すぎるEAほど注意が必要です。なぜカーブフィッティングが危険なのかは、以下の記事で詳しく解説しています。
私たちも開発中に何度も経験しました。
最適化を繰り返すと、驚くほど綺麗な損益曲線が出来上がります。
しかしフォワードテストに移すと、途端に成績が崩れる。
これはEA開発では本当に頻繁に起きます。
だからこそ、損益曲線は「綺麗さ」より「中身」を見る必要があります。
ドローダウンの深さを見る
まず最初に確認したいのがドローダウンです。
どれだけ利益が出ていても、途中で資金が半分になっていたというEAは長期運用が難しくなります。
例えば、
利益:+300%
最大ドローダウン:60%
というEA。
数字だけ見ると魅力的です。
しかし実際に資金が半分以下になったら、多くの人は途中で停止してしまいます。
バックテスト上では利益が出ても、人間が耐えられなければ意味がありません。
私自身もGENESISの開発中、PFは良いのにドローダウンが大きすぎるというパターンに何度も遭遇しました。
最終的には利益よりもドローダウンを優先して削った部分もあります。
EAは勝つことよりも生き残ることが重要です。
ドローダウンは単なる数字ではなく、実際に運用を続けられるかどうかを左右する重要な指標です。停止判断の考え方については以下の記事も参考にしてみてください。
損益曲線を見る時は、「どこまで落ち込んだか」を必ず確認しましょう。
利益がどこで生まれているかを見る
次に重要なのが利益の発生タイミングです。
例えば10年間のバックテストで、
- 最初の9年間は横ばい
- 最後の1年だけ急上昇
というケースがあります。
見た目は右肩上がりです。
しかし実態は、「たまたま最後の1年だけ当たった」可能性があります。
逆に、毎年少しずつ利益を積み上げているEAの方が再現性は高いです。
私は損益曲線を見る時、まず期間ごとに区切って確認します。
- 前半
- 中盤
- 後半
それぞれで利益が出ているか。
一部の期間だけで利益を稼いでいないか。
ここはかなり重要です。
右肩上がりの損益曲線でも危険なパターンは存在します。実際に注意すべきバックテストの特徴についてはこちらで詳しく解説しています。
長期間の停滞期間を見る
初心者が見落としやすいのが停滞期間です。
例えば最終利益が大きくても、2年間利益が増えないというEAも存在します。
バックテストだけ見ると問題ありません。
しかし実際に運用すると、「壊れたのでは?」と感じます。
人は想像以上に待てません。
私自身もフォワードテスト中、数ヶ月間ほとんど利益が出ない時期を経験しています。
そのたびに、本当に大丈夫か?ロジックに問題があるのでは?と不安になります。
だからこそ最終利益だけでなくどれくらい停滞するのかを見ることが大切です。
長期運用ではこちらの方が精神的な影響が大きい場合があります。
取引回数と損益曲線をセットで見る
損益曲線だけを見るのは危険です。
必ず取引回数も確認しましょう。
例えば、
利益:+200%
取引回数:30回
というEA。
成績は良く見えます。
しかし30回では統計的な信頼性が低い可能性があります。
一方、
利益:+120%
取引回数:3000回
ならどうでしょう。
こちらの方が再現性は高そうに見えます。
私たちが開発した3つのEAでも、取引回数はかなり重視しました。
特にGENESISは、一発の大勝ちではなく、取引数を積み上げて利益を作る方向で調整しています。
損益曲線だけで判断すると、この部分は見えません。
取引回数が少なすぎると、どれだけ綺麗な損益曲線でも統計的な信頼性は低くなります。取引頻度と信頼性の関係については、こちらの記事で詳しく解説しています。
GENESIS開発で学んだこと
3つのEAを開発していて印象的だったのは、綺麗な損益曲線ほど危険な場合があるということでした。
開発初期は、もっと右肩上がりにしたい、もっと利益を伸ばしたいと考えていました。
しかし最適化を進めるほど、未来への適応力は失われていきます。
最終的には、
- 少し荒く見えてもいい
- ドローダウンが許容範囲
- 複数年で安定して利益が出る
という方向を重視するようになりました。
これは実際にEAを作ってみないと分からなかった感覚です。
ネット上には綺麗なグラフがたくさんあります。
そもそもバックテスト結果そのものをどのように評価すれば良いのか分からない方は、まず以下の記事から読むのがおすすめです。
しかし本当に見るべきなのは、そのグラフの裏側です。
まとめ
EAの損益曲線を見る時は、右肩上がりかどうかだけで判断してはいけません。
本当に重要なのは、
- ドローダウンは大きすぎないか
- 利益が特定期間だけに偏っていないか
- 長期停滞期間はどれくらいあるか
- 取引回数は十分か
- カーブフィッティングの可能性はないか
という点です。
綺麗な損益曲線は魅力的です。
しかしEA運用で大切なのは、過去の見栄えではなく未来でも機能する可能性です。
次にバックテストを見る時は「どれだけ綺麗か」ではなく、「どれだけ現実的か」という視点で確認してみてください。