EAを購入してしばらく運用していると、多くの人が一度は考えることがあります。
「この設定を少し変えたらもっと利益が出るのでは?」
例えば、
- 利確を大きくする
- 損切りを広げる
- ロットを増やす
- エントリー条件を変更する
こうした設定変更です。
特にバックテスト機能を使えるようになると、「少し調整しただけで利益が増えた!」という結果を見ることもあります。
しかし、EAを3本開発してきた経験から言うと、設定変更は想像以上に危険です。
もちろん、全ての設定変更が悪いわけではありません。
ただ、多くの初心者が考えている以上に、パラメータには意味があります。
今回は、EAの設定変更をして良いケースと危険なケース、そして開発者がパラメータをどのように考えているのかを解説します。
なぜ設定変更したくなるのか
まず理解しておきたいのは、設定変更したくなる気持ちは自然だということです。
負けると改善したくなる
例えば、
- 連敗した
- ドローダウンが大きい
- 利益が伸びない
こうした状況になると、「設定を変えれば改善するのでは?」と考えます。
人間は問題が起きると解決策を探します。
そのため、EAの設定を触りたくなるのは当然です。
バックテストで良い数字が出る
もっと危険なのがこちらです。
例えば、現在の設定
- PF 1.4
- 勝率 55%
だったものが、少しパラメータを変更すると、
- PF 1.8
- 勝率 65%
になることがあります。
バックテストの数字が良くなったからといって、その設定が正しいとは限りません。
すると、「こっちの方が良いじゃないか」と思います。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
開発者はなぜ簡単に設定を変えないのか
初心者と開発者の大きな違いはここです。
パラメータは偶然決まっていない
GENESIS・AXIS・凜を開発している時も、パラメータは何十回、何百回と検証しました。
例えば、損切り幅を5pips変えるだけでも、結果が大きく変わることがあります。
しかし、利益が増えたから採用。
という単純な話ではありません。
重要なのは、その数字に理由があるかです。
開発者は未来を見ている
現在の相場だけを見て設定変更すると、将来の相場変化に対応できなくなる可能性があります。
購入者が見ているのは、現在の成績です。
一方で開発者が見ているのは、未来の相場です。
例えば、2020年〜2025年で最高成績になる設定。
これは簡単に見つかる場合があります。
しかし、2026年以降も通用するかは別問題です。
だからこそ、開発者は安易に設定変更しません。
一番危険なのは「負けた後の設定変更」
実は、EAを停止するか設定変更するかで悩む場面は非常に似ています。どちらも感情で判断すると失敗しやすくなります。
個人的に最も危険だと思うのがこれです。
ドローダウン後に触る
例えば、5連敗した。含み損が増えた。利益が減った。
そこで、損切りを広げる。
利確を変更する。
フィルターを追加する。
こうした行動です。
気持ちは分かります。
しかし、これは負けた後にルールを変えている状態です。
過去の失敗を消そうとしている
実際には、設定変更で改善したのではなく、過去の失敗を見えなくしているだけの場合もあります。
バックテスト上は良く見えても、未来では逆に悪化する可能性があります。
カーブフィッティングとの関係
設定変更が危険な最大の理由がここです。
設定変更を繰り返すことで、過去の相場にだけ最適化されたEAになってしまうことがあります。カーブフィッティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
良い数字は作れてしまう
バックテストを繰り返していると、利益率が最も高い設定を探せます。
しかし、その作業を続けると、過去専用のEAになってしまいます。
GENESIS開発時にも経験した
実際にGENESIS開発中も、PFが大幅に改善する設定が見つかったことがあります。
しかし、他の期間でテストすると崩れる。
別の相場環境では負ける。
ということが何度もありました。
結果的に、最も利益が高い設定ではなく、最も安定していた設定を採用しています。
これはAXISや凜でも同じでした。
設定変更しても良いケース
では、全て触ってはいけないのでしょうか。
そんなことはありません。
ロット設定
これは代表例です。
資金量によって調整する必要があります。
むしろ変更するのが普通です。
時間帯設定
EAによっては、開発者が複数パターンを想定している場合があります。
その場合は問題ありません。
開発者が推奨している変更
マニュアルや販売ページで、「この設定変更は可能です」と説明されているものは基本的に問題ありません。
設定変更で確認するべきこと
どうしても変更したい場合は、最低限確認してほしいポイントがあります。
取引回数は減っていないか
利益率だけ見てはいけません。
取引回数が極端に減っている場合、偶然勝っているだけかもしれません。
ドローダウンは増えていないか
利益が増えても、ドローダウンが大幅に増えている場合があります。
他の期間でも検証したか
特定期間だけで判断しないことです。
複数の相場環境で確認する必要があります。
GENESIS・AXIS・凜開発で学んだこと
3つのEAを開発して強く感じたのは、パラメータ調整は利益を増やす作業ではなく、バランスを探す作業だということです。
利益だけを見るなら、もっと派手な数字を出す設定もありました。
しかし、未来の相場を考えると、少し利益を犠牲にしてでも安定性を取る方が良い。
そう判断したケースが何度もあります。
だからこそ、購入者が数回のバックテスト結果だけを見て設定変更するのは、かなりリスクが高いと感じています。
まとめ
EAの設定変更は、絶対にダメというわけではありません。
しかし、
- 負けた直後
- 感情的な判断
- 短期間のバックテスト
による変更は危険です。
重要なのは、
- なぜその設定なのか
- どんな相場を想定しているのか
- 変更による副作用は何か
を理解することです。
私たちがGENESIS・AXIS・凜を開発する中でも、パラメータは利益を最大化するためではなく、長期的な安定性を確保するために調整してきました。
EA運用で成功するためには、
「もっと利益が出そう」
ではなく、
「なぜこの設定なのか」
を考える視点が大切です。