EA運用を始めて利益が出るようになると、多くの人が考えることがあります。
それは、「この利益を再投資したらもっと増えるのでは?」という考え方です。
いわゆる複利運用です。
実際、EA販売ページでも、「複利運用なら資産○倍」というシミュレーションを見ることがあります。
たしかに理論上は正しいです。
しかし、EAを3本開発し、バックテストやフォワード検証を繰り返してきた経験から言うと、複利運用は魔法ではありません。
むしろ、やり方を間違えると利益以上にリスクを増やしてしまうことがあります。
今回は、EAの複利運用の考え方と、資金を増やす時に注意するべきポイントを解説します。
複利運用とは何か
まず基本から確認しておきます。
複利運用とは、利益を出金せず、その利益も運用資金に加えていく方法です。
例えば、10万円でスタート。1万円利益が出る。次は11万円で運用する。さらに利益が出る。今度は12万円、13万円と増えていく。
このように、利益が利益を生む状態を作るのが複利運用です。
資金が増えるにつれて必要証拠金やリスク管理の考え方も変わってきます。
単利との違い
単利運用は、利益を出金しながら運用する方法です。
例えば、毎月1万円利益が出ても、運用資金は常に10万円のまま。
利益は増えますが、増加スピードは一定です。
一方で複利運用は、資金が大きくなるほど利益も大きくなります。
そのため、長期間では大きな差になります。
複利運用が魅力的に見える理由
EA界隈で複利が人気なのは理由があります。
バックテストの数字が大きくなる
例えば、年利30%のEA。
単利なら、100万円 → 130万円です。
しかし複利なら、翌年は130万円に対して30%。
さらにその翌年も増えていきます。
その結果、資産曲線が非常に綺麗になります。
小資金でも夢が見える
例えば、10万円スタート。毎年資金を増やしながら運用する。こうしたシミュレーションを見ると、数年後には大きな金額になるように見えます。
これが複利の魅力です。
しかしリスクも複利になる
ここが重要です。
多くの人は利益だけを見ます。
しかし、リスクも複利で増えます。
ロットも大きくなる
利益が増えれば、ロットも増えます。
複利運用ではロット設定の考え方が非常に重要になります。ロットをどのように決めるべきかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
すると、利益も増えますが、損失も増えます。
例えば、
資金10万円で2万円のドローダウン。
資金100万円で20万円のドローダウン。
割合は同じでも、精神的な負担は全く違います。
ドローダウン額が大きくなる
ドローダウンは割合だけではなく、実際の金額で考えることも重要です。
GENESISやAXISを開発していても感じたのですが、人は割合ではなく金額で考えます。
例えば、10%のドローダウン。10万円口座なら1万円です。100万円口座なら10万円です。
割合は同じでも、感じ方は全く違います。
複利運用では、この金額の増加も受け入れる必要があります。
GENESIS・AXIS・凜開発で考えていたこと
私たちが3つのEAを開発する中で、利益率だけを見ることはありませんでした。
むしろ、複利運用を前提にした時にどうなるかを意識していました。
長く生き残ることが最優先
バックテストでは、ロットを増やせば利益率は簡単に上がります。
しかし、ドローダウンも増えます。
結果として、途中で運用を止めてしまう人が増えます。
それでは意味がありません。
だからこそ、利益最大化よりも、継続可能性を重視していました。
複利は後からでもできる
実際、優秀なEAなら、最初から複利をかけなくても利益は積み上がります。
まずは、
- 連敗を経験する
- ドローダウンを経験する
- 含み損を経験する
ことが大切です。
複利運用を始める前に、EAがどの程度の連敗をするのか理解しておくことも重要です。
EAの性格を知らない状態で複利を始めるのは危険だと感じています。
複利運用を始めるならいつか
個人的な考えですが、最初の数ヶ月は単利運用がおすすめです。
EAのクセを理解する
バックテストで知るのと、実際に経験するのでは全く違います。
例えば、
- 何連敗するのか
- どれくらい含み損が出るのか
- ドローダウン期間はどれくらいか
を体験してからでも遅くありません。
利益が安定してから考える
いきなり複利ではなく、例えば、利益の半分だけ再投資する。一定金額ごとにロットを増やす。
こうした方法もあります。
段階的に増やした方が精神的な負担も少なくなります。
複利運用でよくある失敗
利益が出た直後にロットを増やす
これは非常に多いです。
例えば、3ヶ月連続で利益。調子が良い。ロットを倍にする。その直後にドローダウン。
結果的に、これまでの利益を大きく失う。
よくあるパターンです。
最大ロットで複利する
利益を最大化したくなる気持ちは分かります。
しかし、EA運用は短距離走ではありません。
長く続けることが重要です。
複利をかける場合も、余裕を持った設定をおすすめします。
まとめ
EAの複利運用は、資産を大きく増やす可能性があります。
しかし、利益だけではなく、リスクも複利で増えることを忘れてはいけません。
重要なのは、
- まずEAの性格を理解する
- 連敗やドローダウンを経験する
- 小さく複利を始める
- 利益だけで判断しない
ということです。
私たちがGENESIS・AXIS・凜を開発する中で重視していたのも、「どれだけ大きく勝つか」ではなく、「どれだけ長く生き残れるか」でした。
複利運用は非常に強力な武器です。
だからこそ、焦らず段階的に活用することが、長期的な資産形成につながると考えています。