EAを始めて資金を失う人の多くは、ロジックの問題で負けていません。
リスク管理の問題で自滅しています。
EA-LabではGENESIS・凜・AXISという3本のEAを開発・運用しています。開発者として、そして運用者として、リスク管理の重要性を実体験から学んできました。
バックテストで良い数値が出ていても、リスク管理を間違えると資金を失います。逆に言うと、リスク管理さえ正しくできていれば、EAの多少のパフォーマンス低下は乗り越えられます。
この記事では、EA運用で破産しないための5つのルールを、開発経験をもとに解説します。
なぜEA運用でリスク管理が重要なのか
裁量トレードと違い、EAは自動で動き続けます。
「ちょっと見ていない間に大きな損失が出ていた」というリスクは、EAでも発生します。SLが設定されていれば1回のトレードの損失は限定されますが、複数のポジションが重なる・DDが予想外に深くなる・相場環境の急変でEAが想定外の動きをするといった問題は起きます。
EAは感情を排除してくれますが、リスク管理まで自動でやってくれるわけではありません。
運用者がリスク管理のルールを設定して、それを守り続けることが必要です。
ルール①:DDの上限を決めて守る
リスク管理の最も基本的なルールはDDの上限を事前に決めることです。
EA-Labが設定しているDDの上限は10%未満です。これはGENESIS・凜・AXISの設計段階から一貫しているルールです。
DDの上限を決める意味は2つあります。
1つ目は資金を守ることです。DDが20%・30%と深くなると、元の水準に戻すために必要なリターンが急激に大きくなります。DD20%なら25%のリターンが必要。DD50%なら100%のリターンが必要です。深いDDは回復が非常に難しくなります。
2つ目は判断基準を持つことです。「DDが○%を超えたらEAを止めて見直す」という基準を事前に決めておくことで、DD局面での感情的な判断を防げます。
DDの許容水準についてはこちらで詳しく解説しています。
ルール②:資金に対して適切なロットを設定する
「もっと稼ぎたい」という気持ちからロットを上げすぎることが、EA運用で資金を失う最も典型的なパターンです。
AXISの開発初期、ロット可変方式を採用していた時期にこの問題を直接経験しました。資金が増えているタイミングでロットが上がった状態でDD局面が重なると、損失が想定より大きくなります。固定ロット方式に変更したのはこの経験からです。
適切なロットの目安はこうです。
EAのバックテスト最大DDを参考に、そのDDが発生したとき資金の10%以内に収まるロットを設定することです。
GENESISの最大DDは8.69%です。100万円の資金でGENESISを運用する場合、最大DD8.69%が資金の10%以内に収まるロット設定を基準にします。
ロット設定の基本はこちらで解説しています。
ルール③:余裕資金で運用する
「余裕資金で始める」という言葉はよく聞きますが、その本当の意味を理解している人は少ないです。
余裕資金で運用する理由は「失っても平気だから」ではありません。
DD局面でも冷静に判断できるようにするためです。
生活費や緊急資金をEAに投入していると、DD局面で「早く取り返さなければ」という焦りが生まれます。この焦りがロットを上げる・EAを止めて別のEAに乗り換えるといった感情的な判断につながります。
EA-Labでも、フォワード初期にDDが出たとき冷静に判断できたのは、運用資金が生活費とは完全に切り離されていたからです。
余裕資金の定義は「なくなっても生活に影響しないお金」ではなく、「EAのフォワードを正しく評価するために感情を排除できる資金」です。
ルール④:複数EAを運用するときは合計リスクを管理する
GENESIS・凜・AXISを3本同時に運用するとき、各EAのリスクを個別に管理するだけでは不十分です。
3本合計のリスクを管理する必要があります。
最悪のケースとして、3本が同時にDD局面に入ることを想定します。各EAのDD上限が10%であれば、3本合計では最大30%のDDが発生する可能性があります。
これが許容範囲を超える場合、各EAのロットを下げて合計リスクを調整する必要があります。
EA-LabのGENESIS・凜・AXISはロジック・通貨ペア・時間足が異なるため、3本が完全に同時に同じ方向でDD局面に入る可能性は低いです。しかし「低い」であって「ゼロ」ではありません。
複数EA運用のリスク管理についてはこちらで詳しく解説しています。
ルール⑤:EAを止めるタイミングの基準を事前に決める
5つ目のルールは最も重要かもしれません。
「このEAを止める条件」を、運用開始前に決めておくことです。
DD局面でEAを止めるかどうかを、その場の感情で判断すると必ず間違えます。
調子が良いときは「もっと続けよう」、調子が悪いときは「もう止めよう」という感情が働きます。この感情に従うと、好調な時期だけ運用して不調な時期は止めるという最悪のパターンになります。
EA-Labが設定しているEAを止める基準はこうです。
フォワードのDDがバックテスト最大DDの2倍以上になった場合。取引数がバックテスト月平均の半分以下が3ヶ月以上続く場合。PFが6ヶ月以上0.8を下回り続ける場合。
これらの基準に達しない限り、短期の不調でEAを止めません。逆にこれらの基準に達したときは、感情に関わらず止めて見直します。
EAを止めるタイミングの詳しい基準はこちらで解説しています。
GENESIS開発で学んだ「守りの設計」
GENESIS・凜・AXISの開発を通じて、リスク管理に対する考え方が変わりました。
開発初期は「PFを上げること」「取引数を増やすこと」が最優先でした。しかし開発を進めるにつれて、「DDをどう抑えるか」の方が長期運用において遥かに重要だということに気づきました。
GENESISの開発目標にDD10%未満を設定したのも、凜で祝日前倒しトレードを不採用にしたのも、AXISをロット可変から固定ロットに変更したのも、全て「守りの設計」を優先した判断です。
攻めのロジックより守りの設計が、長期運用できるEAの条件です。
この考え方はEAを選ぶときにも同じく当てはまります。「どれだけ稼げるか」より「どれだけ資金を守れるか」を重視したEAを選ぶことが、長期運用の基本です。
リスク管理を「制約」ではなく「前提」として考える
リスク管理のルールを守ることを「稼ぎを制限するもの」と感じる方もいます。
しかし考え方を変えてほしいです。
リスク管理は制約ではなく、長期で運用し続けるための前提条件です。
ロットを上げすぎないことは「稼ぎを減らすこと」ではなく「退場しないための条件を守ること」です。DD上限を守ることは「利益を諦めること」ではなく「次の機会まで資金を保つこと」です。
EAで長期的に利益を出し続けている人に共通しているのは、派手なトレードではなく地味なリスク管理の徹底です。
EA-Labが目指しているのも同じです。月利50%のような派手な数値ではなく、長期で安定して機能するEAと、それを守るリスク管理の組み合わせです。
リスク管理の全体像についてはこちらで詳しく解説しています。
EAで破産するパターンについてはこちらも参考にしてください。
まとめ
EA運用で破産しないための5つのルールをまとめます。
ルール①:DDの上限を10%未満に設定して守る。
ルール②:資金に対して適切なロットを設定する。
ルール③:余裕資金で運用してDD局面でも冷静に判断できる状態を作る。
ルール④:複数EA運用では合計リスクを管理する。
ルール⑤:EAを止めるタイミングの基準を事前に決める。
この5つはGENESIS・凜・AXISの開発・運用を通じて、実体験から導き出したルールです。
EAの良し悪しはロジックで決まる。しかしEA運用の成否はリスク管理で決まります。