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EA開発ログ 2026.05.06 更新: 2026.05.04

GENESISが勝率69%を維持できる理由|ブレイクアウト系EAの設計思想

GENESISの10年バックテストでの勝率は69.99%です。

ブレイクアウト系EAとしては高い水準です。

「ブレイクアウト系なのになぜ勝率が高いのか」という疑問を持つ方もいると思います。一般的にブレイクアウト系EAはダマシが多く、勝率が低くなりやすいロジックだからです。

正直に言います。GENESISの勝率69%は最初から出ていたわけではありません。

開発初期は勝率が40〜50%台で、ダマシによる連敗が続く状態でした。何度もロジックを見直して、削って、調整して、ようやく現在の水準に至っています。

この記事では、GENESISがなぜ勝率69%を維持できているのか、ブレイクアウト系EAの設計思想を開発経緯とともに解説します。

ブレイクアウト系EAが勝率で苦労する理由

ブレイクアウト系EAの基本ロジックはシンプルです。

レンジを形成してブレイクしたらエントリーする。

しかしこのシンプルさが、勝率を下げる原因でもあります。

FX市場では「ブレイクしたように見えて即反転する」ダマシが頻繁に発生します。レンジの端を少し抜けただけで、実際には方向性が出ずにすぐに戻ってくる動きです。

ダマシでエントリーするたびに損切りになります。これが積み重なると勝率が下がり、PFも伸びません。

GENESIS開発初期はまさにこの状態でした。バックテストを回すと、エントリー回数は多いのに勝率が低く、DDが大きくなっていました。

「どうやってダマシを減らすか」がGENESIS開発の最大の課題でした。

勝率を上げるために試みたこと・失敗したこと

ダマシを減らすための最初のアプローチは「フィルターを追加する」でした。

「この条件が揃っているときだけエントリーする」という条件を積み重ねていく方法です。

最初のうちは効果がありました。フィルターを加えるたびに勝率が上がっていきました。

しかしすぐに別の問題が出てきました。

フィルターを増やすと取引数が激減します。取引数が減ると統計的な信頼性が下がります。さらにフィルターを増やしすぎると過剰最適化のリスクが上がります。

ある時点でバックテストの勝率が75%を超えました。「これで完成か」と思いました。

しかしウォークフォワードで別期間のデータで確認すると、勝率が大幅に落ちていました。過去の特定期間にだけ最適化されたフィルターになっていたのです。

「フィルターを増やす方向は限界がある」という結論に至りました。

発想の転換:「選別する」という考え方

フィルターを増やすことを諦めて、発想を転換しました。

「条件を追加するのではなく、トレードする相場を選別する」

この違いは微妙に見えますが、本質的に異なります。

条件を追加するとは「エントリーしない条件」を増やすことです。過去のデータを分析して「この場合はダメ」という例外を積み上げていきます。これは過剰最適化につながりやすいです。

相場を選別するとは「ブレイクアウトが機能しやすい相場構造を特定する」ことです。「BOXがしっかり形成されているか」「ブレイクの力強さが十分か」という本質的な条件に絞ります。

この考え方に切り替えたことで、ロジックがシンプルになりながら勝率が安定し始めました。

BOX形成の質にこだわった理由

GENESISの設計で最も重要な要素のひとつがBOXの形成条件です。

「BOXを形成してブレイクしたらエントリーする」という基本構造は変わりません。しかし「どんなBOXを有効と判断するか」の精度を上げることに注力しました。

漠然とした高値・安値の範囲ではなく、以下の条件を満たすBOXを重視しています。

一定期間にわたって価格が安定して推移していること。BOXの幅が一定の条件を満たしていること。ブレイクの方向に勢いがあること。

これらの条件が揃ったBOXのブレイクは、ダマシになりにくい傾向があります。

逆に言うと、条件が揃っていないBOXのブレイクは積極的にスルーします。「エントリーしない勇気」を持つことが、勝率を上げる鍵でした。

勝率とPFのバランスを取る難しさ

GENESISの開発で最も時間がかかったのが、勝率とPFのバランスを取ることでした。

勝率を上げようとするとTP設定を小さくすることになりがちです。小さいTPは達成しやすいため勝率が上がります。しかしTP/SLのバランスが悪くなり、PFが下がります。

逆にPFを上げようとしてTPを大きくすると、TP到達前に反転するケースが増えて勝率が下がります。

「PF・DD・取引回数の三角形」に加えて、「勝率とリスクリワードのバランス」という別のトレードオフがGENESISには存在します。

最終的に辿り着いたのは「勝率69%・PF1.17」という数値です。

勝率だけを見ると高いですが、PF1.17は派手な数値ではありません。しかしこのバランスが長期で安定して機能する水準だと判断しています。

凜・AXISの開発経験がGENESISの評価基準を変えた

凜とAXISを開発したことで、GENESISの勝率69%という数値の見方が変わりました。

凜(アノマリー型)の勝率は79.16%です。アノマリー型は条件が揃ったときだけエントリーするため、勝率が高くなりやすい特性があります。

AXIS(トレンドフォロー型)の勝率は67.20%です。トレンドフォローは負けを小さく・利益を大きくする設計のため、勝率がやや低くなりやすい特性があります。

3本を比較すると、GENESISの勝率69%はブレイクアウト型としては高い水準でありながら、アノマリー型ほど高くもない、現実的なバランスだと言えます。

それぞれのロジックタイプに適した勝率水準があるということを、3本の開発を通じて学びました。

勝率69%が長期で維持できている理由

GENESISが10年バックテストで勝率69%を維持できている理由を整理します。

①過剰最適化を避けたシンプルなロジック

条件を増やすのではなく削ることで、様々な相場環境に対応できるロジックになっています。特定の相場環境だけに最適化されたロジックではないため、長期バックテストでも安定した勝率を維持できます。

②BOX形成の質による相場の選別

全てのブレイクにエントリーするのではなく、ダマシになりにくいBOXのブレイクを選別することで、無駄なエントリーを減らしています。

③適切なTP/SLバランス

勝率を無理に上げるためにTPを小さくするのではなく、PFとのバランスを考慮したTP/SL設定にしています。

④長期バックテストでの検証

10年という長期間のバックテストにはコロナショック・円安ショックなど様々な相場環境が含まれています。これらを経験した上での勝率69%という数値は、特定の相場環境だけで出た結果ではありません。

バックテストの信頼性についてはこちらで解説しています。

GENESISのフォワードでの勝率について

バックテストの勝率69%がフォワードでも維持されているかどうかは、継続的に確認しています。

フォワードではバックテストより勝率が下がることが一般的です。バックテストはヒストリカルデータを使ったシミュレーションであり、スプレッドの変動・スリッページ・約定タイミングのズレがリアルに反映されます。

EA-Labが重視しているのは「勝率が69%ピッタリである」ことではなく、「勝率とPFのバランスが設計の想定範囲内で推移しているか」です。

フォワードテストの見方についてはこちらで詳しく解説しています。

まとめ

GENESISが勝率69%を維持できている理由をまとめます。

ブレイクアウト系EAは本来ダマシが多く勝率が低くなりやすいロジックです。しかし「フィルターを増やす」ではなく「トレードする相場を選別する」という発想の転換が、高い勝率と安定したPFの両立を可能にしています。

開発初期の失敗・過剰最適化との戦い・凜やAXISとの比較を通じて辿り着いた「勝率69%・PF1.17」という数値は、長期運用に耐えるためのバランスとして設計されています。

勝率は高ければ良いわけではありません。PFとのバランス・取引回数・長期安定性を総合的に判断することが、EAの本当の実力を見極める基準です。

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