EAを使い始めようとした時、最初に必ず出てくるのが「MT5」という言葉です。
「MT5をダウンロードしてください」「EAはMT5で動きます」という説明を見ても、MT5が何なのかよくわからないまま進めてしまっている人は少なくありません。
EA-LabではGENESIS・凜・AXISの3本すべてをMT5で開発・運用しています。MT4も存在しますが、EA-Labが開発環境としてMT5を選んだのには明確な理由があります。
この記事では、MT5とは何か・MT4との違い・EAを始める前に知っておくべき基礎知識を解説します。
MT5とは何か
MT5とはMetaTrader5(メタトレーダー5)の略称で、FXのトレードに使うプラットフォーム(ソフトウェア)のことです。
ロシアのMetaQuotes社が開発しており、世界中のブローカーが採用している取引プラットフォームです。チャートの表示・注文の発注・ポジション管理といったトレードに必要な機能がすべて備わっています。
EAはこのMT5上で動作します。MT5がなければEAは動かせません。EAを使うためにMT5が必要、という関係です。
MT4との違い
MT5の前身にあたるMT4(MetaTrader4)も現在広く使われています。両者の主な違いは以下の通りです。
処理速度
MT5はMT4より処理速度が速く、複数のEAを同時稼働させる場面でも安定しやすいです。
ストラテジーテスターの性能
EAのバックテストを行うストラテジーテスターの性能がMT5の方が高く、マルチスレッド処理に対応しているためバックテストの実行速度が大幅に速くなっています。EA開発において、バックテストを何度も繰り返す作業の効率が大きく変わります。
時間足の種類
MT4が9種類の時間足に対応しているのに対し、MT5は21種類の時間足を使えます。
将来性
MetaQuotes社の開発リソースはMT5に集中しており、MT4の新規開発はすでに終了しています。長期的な観点ではMT5を選ぶ方が安全です。
EA-LabがMT5をメイン環境として選んだ理由も、処理速度・ストラテジーテスターの性能・将来性の3点です。GENESIS開発当初からMT5で開発しており、MT4への対応は現時点では予定していません。
MT5でEAを動かす基本的な仕組み
MT5上でEAを動かす流れはシンプルです。
まずブローカーのMT5対応口座を開設します。次にMT5をパソコンにインストールし、ブローカーのサーバーに接続します。EAファイル(拡張子.ex5)をMT5の所定のフォルダに入れ、チャートにセットすれば自動売買がスタートします。
EAはMT5が起動している間だけ動作します。パソコンの電源を切るとEAも止まります。24時間稼働させたい場合はVPS(仮想専用サーバー)を使うのが一般的です。
MT5を使う上で知っておくべきこと
ブローカーによってMT5の環境が異なる
MT5はブローカーごとにサーバー環境が異なります。スプレッド・スワップ・約定速度はブローカーによって差があり、同じEAでも使用するブローカーによって実績に差が出ることがあります。
EA-Labの3本のEAはいずれも特定ブローカー専用ではありませんが、スプレッドの広いブローカーではコストが増加するため、実績に影響が出る可能性があります。
デモ口座で動作確認ができる
ほとんどのブローカーはデモ口座を提供しており、リアルマネーを使わずにMT5・EAの動作確認ができます。EAを初めて使う場合はデモ口座での動作確認を先に行うことをすすめます。
ストラテジーテスターでバックテストができる
MT5にはストラテジーテスターという機能が内蔵されており、EAの過去データを使ったバックテストをMT5上で実行できます。EA-LabのGENESIS・凜・AXISのバックテストもすべてMT5のストラテジーテスターで実施しています。
バックテストの見方については以下の記事で詳しく解説しています。
EAファイルの拡張子はex5
MT5で使うEAファイルの拡張子は.ex5です。MT4用のEAは拡張子が.ex4であり、MT4用のEAはMT5では動作しません。購入・ダウンロードするEAがMT5対応かどうかを必ず確認してください。
GENESIS開発でMT5の性能を実感した話
GENESISの開発初期、バックテストを何度も繰り返す作業がありました。
パラメータを少し変えるたびにバックテストを走らせ、PF・DD・取引回数のバランスを確認する作業です。これを10年分のデータで繰り返すため、処理速度が遅いと開発効率が大きく落ちます。
MT5のストラテジーテスターはマルチスレッド処理に対応しており、最適化(複数パラメータの組み合わせを一括検証する機能)を使うと、数百通りのパラメータを短時間で検証できます。
この機能がなければGENESIS・凜・AXISの開発はもっと時間がかかっていたはずです。EA開発においてMT5のテスター性能は非常に重要だと実感しています。
MT5のインストールと初期設定の流れ
MT5を初めて使う場合の基本的な流れを整理します。
①ブローカーの口座開設
MT5対応口座を提供しているブローカーで口座を開設します。デモ口座でも構いません。
②MT5のダウンロード・インストール
ブローカーの公式サイト、またはMetaQuotes社の公式サイトからMT5をダウンロードしてインストールします。
③サーバーへの接続
MT5を起動してブローカーのサーバーを選択し、口座番号とパスワードでログインします。
④EAファイルの設置
EAファイル(.ex5)をMT5のデータフォルダ内のExpertsフォルダに入れ、MT5を再起動します。
⑤チャートへのセットと稼働開始
対象通貨ペアのチャートを開き、EAをドラッグ&ドロップでセットしてパラメータを設定すれば稼働開始です。
EAのパラメータ設定については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
MT5はFX自動売買(EA)を動かすためのトレードプラットフォームです。EAはMT5がなければ動作しないため、EA運用を始める前にMT5の基本的な仕組みを理解しておくことが重要です。
MT4との違いはストラテジーテスターの性能・時間足の種類・将来性の点で、EA開発・運用においてはMT5の方が優れています。EA-LabがMT5を選んだのもこの理由からです。
MT5はあくまでEAを動かすための環境です。
MT5を使いこなすことよりも、どのEAを使うか・どう運用するかの方がはるかに重要です。まずMT5の基本操作を覚えた上で、EAの検証・運用に集中してください。