EAを開発して初めてフォワードに出したとき、正直なにを見ればいいのかわかりませんでした。
バックテストは何度も回した。数字も確認した。でも実際に動き始めると、「これは正常なのか」「この動きは想定内なのか」という判断基準が曖昧なまま、ただ眺めている状態でした。
開発者でもそうなります。
購入したEAを初めて動かす人なら、なおさらです。
EA購入後の最初の1ヶ月は、「EAを育てる期間」ではなく「EAを正しく理解する期間」です。利益を出そうとする時期ではありません。
この記事では、EA購入後の最初の1ヶ月にやるべきことを、具体的な順序でまとめます。
まず最初の1週間でやること
EA購入直後にやることは、運用ではなく環境の確認です。
①バックテストを自分で回す
購入したEAのバックテストを、販売ページの設定のまま自分で回してみてください。
理由は2つあります。
ひとつは、販売ページの結果と自分の環境での結果が一致するかを確認するため。ブローカーやデータの違いで、同じEAでもバックテスト結果が変わることがあります。
もうひとつは、EAの基本的な動き方を自分の目で確認するため。PF・DD・取引回数を自分で見ることで、「このEAはどんな動きをするのか」の感覚が掴めます。
②チャートへのセットと動作確認
MT5にEAをセットして、正しく動作しているかを確認します。
確認すべきポイントは
- 自動売買ボタンがONになっているか
- EAプロパティで自動売買が許可されているか
- 通貨ペア・時間足が正しいか
- ロット設定が正しいか
この4点は最初に必ず確認してください。設定ミスでエントリーが来ない、というのはEA運用で最もよくあるトラブルです。
MT5の設定確認については、こちらの記事でより詳しくまとめています。
③許容DDと損失額を金額で計算する
バックテストの最大DDが何%かを確認したら、自分の運用資金に対して金額ベースで計算します。
例えば最大DDが10%のEAを100万円で運用する場合、最大DD時の損失は10万円です。
この金額を見て「許容できるか」を確認します。数字のパーセントではなく、実際の金額で見ることが重要です。金額ベースで見て初めて「これは自分に合っているか」が判断できます。
最初の1ヶ月は「最小ロット」で動かす
環境確認が終わったら、いよいよ実運用です。
ただしここで重要なことがあります。
最初の1ヶ月は最小ロットで動かしてください。
理由はシンプルで、EAの動き方に慣れるためです。
バックテストで数字を見るのと、リアルタイムで動くEAを見るのは、感覚がまったく違います。
- 含み損が出たときの感覚
- エントリーが来ない日が続くときの感覚
- 想定外の動きが出たときの感覚
これらは実際に動かしてみないとわかりません。
最小ロットで動かすことで、損失リスクを抑えながらEAの動き方に慣れる期間を作れます。
EA-LabでGENESISの最初のフォワードを出したときも、最初は小さいロットから始めました。バックテストで十分に検証していても、実際に動き始めると想定外の動きが出ることがあります。慣れるまでは小さく動かす、というのはEA開発者でも同じです。
最初の1ヶ月に「やってはいけないこと」
初期運用でやりがちなミスをまとめます。
ミス①|最初からフルロットで動かす
「どうせ長期運用するなら最初からフルロットで」という考えは危険です。
EAの動き方に慣れていない状態でフルロットを動かすと、ドローダウン時に精神的に耐えられなくなります。感情的な判断でEAを止めてしまうのが最悪のパターンです。
ミス②|1週間でEAを評価しようとする
「1週間動かしたけど利益が出ない」「先週マイナスだった」という理由でEAを止めるのは早すぎます。
EAの評価は最低6ヶ月、理想は1年以上のフォワード結果で判断します。1週間・1ヶ月の結果はノイズに過ぎません。
EAの評価に必要なフォワードテストの考え方はこちらで解説しています。
ミス③|パラメータをいじる
エントリーが来ない・利益が出ないという理由でパラメータを変えてしまう。
これをやると、販売者が検証した設定から外れます。パラメータ変更は「改善のため」ではなく「不安の解消のため」になっていることが多く、結果として成績が悪化するケースがほとんどです。
ミス④|複数のEAを同時に動かし始める
「分散のため」と考えて、複数のEAを同時にスタートするのも初期はおすすめしません。
EAが増えるほど、どのEAが何の原因で動いているかの把握が難しくなります。まず1つのEAの動き方を理解してから、徐々に増やすのが現実的です。
1ヶ月間で記録しておくべきこと
最初の1ヶ月は、記録を残す習慣をつけてください。
記録すべき内容は以下の通りです。
・週ごとの損益 月単位だけでなく、週ごとの動きも記録します。どの週にどんな相場だったかを後から振り返るためです。
・エントリーが来なかった期間 何日間エントリーがなかったかを記録します。「このEAはこれくらい動かない期間がある」という感覚を掴むためです。
・最大含み損 ポジションを持っているときの最大含み損を記録します。バックテストの最大DDと実際の含み損を比較することで、EAの動き方の理解が深まります。
・感情の動き これは意外と重要です。「このとき不安になった」「ここで止めたくなった」という感情を記録しておくと、長期運用を続ける上での自分の弱点がわかります。
記録は簡単なメモで十分です。Excelでも手書きでも構いません。後から「あのときどうだったか」を振り返れる状態にしておくことが目的です。
1ヶ月後に確認すべき3つのポイント
最初の1ヶ月が終わったら、以下の3点を確認します。
①MT5の設定に問題はなかったか
エントリーが来なかった原因が「設定ミス」だった場合、まずそれを修正します。設定に問題があった状態でのデータは参考になりません。
②取引回数はバックテストの想定通りか
1ヶ月の取引回数が、バックテストから想定される月平均と大きくズレていないかを確認します。極端に少ない場合は設定ミスの可能性、極端に多い場合はパラメータが意図通り機能していない可能性があります。
③DDは許容範囲内か
1ヶ月間の最大DDが、バックテストの最大DDの範囲内に収まっているかを確認します。大幅に超えている場合は、ロジックが想定外の動きをしている可能性があります。
この3点に問題がなければ、2ヶ月目以降も同じ設定で継続します。
問題があった場合は、販売者のサポートに確認するか、設定を見直します。ここで自己判断でパラメータを変えるのは避けてください。
2ヶ月目以降の進め方
最初の1ヶ月を正しく過ごせたら、2ヶ月目以降は基本的に「見守る」フェーズに入ります。
毎日細かく確認する必要はありません。週1回程度、損益と最大DDを確認する程度で十分です。
ロットを上げるタイミングは、最低でもフォワード6ヶ月以上・PFが基準値を維持していることを確認してからです。最初の1〜2ヶ月の結果が良くても、ロットアップは慎重に考えてください。
EAは短距離走ではなくマラソンです。最初の1ヶ月を正しく過ごすことが、長期運用の土台になります。
長期運用の考え方についてはこちらも参考になります。
まとめ
EA購入後の最初の1ヶ月でやるべきことをまとめます。
最初の1週間
- バックテストを自分で回して確認
- MT5へのセットと動作確認
- 許容DDを金額ベースで計算
最初の1ヶ月
- 最小ロットで動かす
- 記録を残す
- パラメータをいじらない・評価しない
1ヶ月後の確認
- 設定に問題はないか
- 取引回数は想定通りか
- DDは許容範囲内か
EA-Labでも最初のフォワードは小さいロットから始めて、動き方を確認してからロットを調整するという流れを取っています。
最初の1ヶ月は利益を出す期間ではなく、EAを理解する期間です。
焦らず、いじらず、記録する。この3つを意識するだけで、長期運用の成功率は大きく変わります。