EAを購入すると、「setファイル」というものが付属していることがあります。
初めてEAを使う方は、「これは何?」「必ず読み込まないといけないの?」「自分好みに変更しても良いの?」と疑問に思うかもしれません。
結論から言えば、setファイルはEAを正しく動かすための設定データです。
そして、基本的には配布されたまま使用することをおすすめします。
今回はsetファイルの役割や、変更して良い項目・注意すべきポイントについて、EA開発者の視点から解説します。
setファイルとは何か
setファイルとは、EAの設定内容を保存したファイルです。
EAには、
- ロットサイズ
- 損切り幅
- 利確幅
- 取引時間
- フィルター設定
- マジックナンバー
など、多くのパラメータがあります。
これらを毎回手入力するのは大変です。
そこでMT5には、設定内容を保存・読み込みできる「setファイル」という仕組みがあります。
つまり、EA本体とは別に「設定だけを保存したファイル」というイメージです。
なぜsetファイルが配布されるのか
EA販売者がsetファイルを配布する理由はシンプルです。
開発時に検証した設定を、そのまま利用者にも再現してもらうためです。
例えばバックテストで優秀な結果が出た設定があるとします。
購入者がその設定を1つずつ入力すると、入力ミスや設定漏れが起きる可能性があります。
setファイルを読み込めば、開発者が検証した環境をほぼそのまま再現できます。
初心者にとっても、最初の設定が非常に簡単になります。
基本的にはそのまま使うことをおすすめする
結論として、最初は配布されたsetファイルをそのまま使うのが一番安全です。
理由は、その設定で十分な検証を行っている可能性が高いからです。
もちろん販売者によって品質は異なります。
しかし、信頼できるEAであれば、何度もバックテストやフォワードテストを繰り返した設定になっています。
それを購入直後に変更してしまうと、本来の性能が発揮できなくなることがあります。
まずは販売者が想定した状態で運用し、EAの特徴を理解してから必要に応じて調整する方が安全です。
変更しても良い項目と慎重に扱う項目
とはいえ、全ての設定が触ってはいけないわけではありません。
例えば、ロットサイズは資金量に合わせて変更する必要があります。
口座残高が違えば、適切なロットも変わるからです。
一方で、
- エントリー条件
- インジケーターの判定値
- 時間フィルター
- 決済条件
などは慎重に扱うべきです。
これらはEAのロジックそのものに関わる部分です。
少し変更しただけでも、取引回数や勝率、最大ドローダウンが大きく変わる可能性があります。
「数字を少し変えるだけだから大丈夫だろう」という考えは危険です。
私が3つのEAを開発して実感したこと
GENESIS・AXIS・凜を開発していて、一番苦労したのはパラメータ調整でした。
EAは完成したあとも、数え切れないほどバックテストを繰り返します。
例えば、期間を変えたり、時間帯を変えたり、フィルターを少し変更したり。
ほんの1つ数字を変えただけで、利益が大きく伸びることもあれば、逆に資産曲線が一気に崩れることもあります。
開発していると、「この数字にはちゃんと意味がある」ということを何度も実感しました。
だからこそ、最終的に配布するsetファイルは、数多くの候補の中から選んだ設定です。
もちろん未来を保証するものではありません。
それでも、何となく変更するより、検証された設定を使う方が合理的だと考えています。
setファイルを変更するなら必ず検証する
もし設定を変更したいのであれば、必ずバックテストを行いましょう。
変更前と変更後で、
- 最大ドローダウン
- プロフィットファクター
- 取引回数
- 勝率
などを比較することが重要です。
利益だけを見て判断すると、将来的に大きなリスクを抱えることがあります。
こちらの記事でも解説していますが、EAは利益だけでは評価できません。
よくある勘違い
初心者の方によくあるのが、「自分で最適化すればもっと勝てるのでは?」という考えです。
もちろん、十分な知識と検証環境があれば可能です。
しかし、バックテストを何百回も行い、過剰最適化を避けながら設定を決めるのは簡単ではありません。
むしろ、利益だけを追いかけて設定を変更すると、将来通用しないEAになってしまう可能性があります。
そのため、EA初心者のうちは、まず販売者のsetファイルで運用し、EAの特徴を理解することをおすすめします。
setファイルは定期的に更新されることもある
販売者によっては、相場環境の変化に合わせてsetファイルを更新することがあります。
ただし、毎月のように更新されるEAには注意も必要です。
頻繁に設定変更が必要ということは、相場への依存度が高い可能性もあります。
一方で、長期間ほとんど変更せず運用できるEAは、ロジック自体の安定性が高い場合もあります。
更新頻度だけで判断はできませんが、ひとつの参考にはなるでしょう。
まとめ
setファイルとは、EAの設定を保存したファイルです。
基本的には販売者が十分検証した設定なので、最初はそのまま利用することをおすすめします。
私自身、3つのEAを開発する中で、数え切れないほどパラメータを調整してきました。
数字を少し変更しただけで資産曲線が大きく変わることを何度も経験しています。
だからこそ、何となく設定を変更するのではなく、変更するなら必ずバックテストで検証することが重要です。
setファイルは「ただの設定データ」ではありません。
開発者が何度も試行錯誤した結果が詰まった、EAの重要な構成要素の一つだと考えておくと良いでしょう。