EAを購入した後、販売者から「Ver1.10を公開しました。」「最新版へアップデートしてください。」という案内が届いた経験はありませんか?
この時、
- すぐに最新版へ更新するべき?
- 今のバージョンで利益が出ているなら、そのままでもいい?
- アップデートしたら成績が悪くなることはないの?
と疑問に思う方も多いでしょう。
結論から言えば、基本的にはアップデートを適用することをおすすめします。
ただし、すべてのアップデートが同じ意味を持つわけではありません。
実際には、
- バグ修正
- 機能追加
- ロジック改善
- 軽微な表示修正
など、アップデートの内容はさまざまです。
EA-Labでも、凜・AXIS・GENESISの3本を開発する中で、何度もプログラムの修正や改善を繰り返してきました。
その経験から感じるのは、「最新版だから無条件で良い」のではなく、なぜアップデートされたのかを理解することが大切だということです。
この記事では、EAのアップデートを適用するべき理由と、長期運用で重要になるバージョン管理の考え方について解説します。
EAのアップデートはなぜ行われるのか
まず理解しておきたいのは、EAのアップデートにはいくつかの種類があるということです。
内容によって、重要度は大きく変わります。
バグ修正
もっとも多いのが、プログラム上の不具合を修正するアップデートです。
例えば、
- 特定条件で注文されない
- エラーが発生する
- ロット計算が正しく動かない
など、実運用で見つかった問題を改善します。
このようなアップデートは、できるだけ早く適用した方が安心です。
機能追加
次に多いのが、新機能の追加です。
例えば、
- スプレッドフィルター追加
- 時間フィルター追加
- 通知機能追加
- パラメータ追加
などがあります。
今まで使えなかった機能が追加されるため、運用の幅が広がることがあります。
ただし、デフォルト設定が変更されるケースもあるため、変更内容は必ず確認しましょう。
ロジック改善
もっとも影響が大きいのが、このロジック改善です。
エントリー条件や決済条件そのものが変更されるため、
- エントリー回数
- 勝率
- プロフィットファクター
- 最大ドローダウン
など、EAの性格が変わる可能性があります。
もちろん、開発者はより良い結果を目指して改善を行いますが、「別物のEAになった」と感じるくらい変化することもあります。
そのため、ロジック改善を伴うアップデートでは、変更内容をよく理解してから適用することが大切です。
基本的にはアップデートをおすすめする理由
「今のバージョンで利益が出ているから、このままでいいのでは?」という考え方もあります。
確かに、その気持ちはよく分かります。
しかし、多くの場合、開発者はユーザーに不利になるアップデートを行うために時間をかけているわけではありません。
不具合が見つかったり、より安全に運用できる改善点が見つかったりしたからこそ、新しいバージョンを公開しています。
そのため、信頼できる販売者のEAであれば、基本的には最新版を使うことをおすすめします。
ただし、すぐに適用しない方が良いケースもある
一方で、アップデートを急がなくても良いケースもあります。
フォワード結果がまだ少ない場合
開発者がバックテストだけを根拠に公開したアップデートであれば、少し様子を見るという選択肢もあります。
バックテストは非常に重要ですが、実際の相場では
- スプレッド
- スリッページ
- 約定速度
などの影響も受けます。
そのため、本当に改善されたかどうかは、一定期間のフォワード結果を見ることで判断できる場合があります。
EA-Labでも、バックテストだけを見て「完成」と判断することはありません。
実際の相場で一定期間動かし、想定どおりの動きを確認した上で公開することを重視しています。
現在の運用状況を考慮する
例えば、
- 大きな含み益を保有している
- 重要な経済イベント直前
- 複数EAを運用中
といったタイミングでアップデートするのは、あまりおすすめできません。
アップデート自体は数分で終わっても、設定ファイルの確認や動作確認が必要になります。
できれば相場が落ち着いているタイミングで実施する方が、安全に切り替えられるでしょう。
EA-Labが考える「バージョン管理」
EAを開発していて感じるのは、アップデートそのものよりも、「何を変更したのか」が重要だということです。
「Ver1.00」から「Ver1.01」になったとしても、
- コメント表示の修正
- 軽微なバグ修正
だけなのか、
- エントリーロジック変更
- 決済条件変更
- リスク管理の見直し
まで行われているのかでは、意味がまったく違います。
だからこそ、EA-Labではアップデートを行う際に、できる限り変更内容を明確にお伝えすることを意識しています。
凜・AXIS・GENESISの開発で徹底したこと
EA-Labで公開している凜・AXIS・GENESISも、一度作って終わりではありませんでした。
開発中は、
- エントリー条件の微調整
- 決済条件の改善
- フィルター追加
- バグ修正
- パラメータ整理
など、小さな改善を何度も積み重ねています。
しかし、そのたびに感じたのは、「改善したつもり」が必ずしも改善とは限らないということでした。
例えばバックテストではPFが改善していても、フォワードテストでは逆に取引回数が減りすぎてしまったり、最大ドローダウンが増えてしまったりすることがあります。
そのため、「数字が少し良くなったから公開する」という判断はしませんでした。
本当に長期運用でメリットがあるかを確認した上で、採用・不採用を決めています。
これは時間も手間もかかりますが、長く安心して使っていただくためには欠かせない工程だと考えています。
バックテストではわからない内容についてまとめた記事はこちら
バージョン番号より変更内容を見る
EAを運用する際、「Ver1.20だから安心」「Ver2.00だからすごい」といった見方はおすすめできません。
重要なのは、バージョン番号ではなく変更内容です。
例えば、
- Ver1.01:誤発注につながる重大なバグを修正
- Ver2.00:画面表示を変更しただけ
であれば、優先して適用すべきなのは前者です。
販売者が変更履歴(更新履歴・リリースノート)を公開している場合は、必ず目を通す習慣を付けましょう。
アップデート時に確認したいポイント
アップデート後にエントリーしなくなった場合は、こちらの記事も参考にしてください。
アップデートする際は、単にファイルを差し替えるだけではなく、次の点も確認しておくと安心です。
更新内容を確認する
まずは「何が変わったのか」を確認しましょう。
特に、
- エントリー条件
- 決済条件
- ロット計算
- フィルター
などに変更がある場合は、運用成績へ影響する可能性があります。
設定ファイルはそのまま使えるか
アップデートによってパラメータが追加・削除されることがあります。
古い設定ファイルをそのまま読み込むと、意図しない動作になるケースもあるため、
- 新しいパラメータが追加されていないか
- 推奨設定が変わっていないか
を確認しましょう。
バックテスト・フォワード結果を確認する
販売者が、
- バックテスト
- フォワードテスト
- 更新理由
を公開している場合は、できるだけ確認することをおすすめします。
「最新版だから」という理由だけで適用するよりも、納得して更新した方が安心して運用できます。
EAは毎日利益が出るものではないという点は認識して確認しましょう。
アップデートしないという選択肢も間違いではない
ここまで基本的にはアップデートを推奨してきましたが、「必ず最新版を使わなければならない」というわけではありません。
例えば、
- 現在のバージョンで長期間安定している
- 更新内容が自分の運用に関係ない
- 大きなロジック変更で様子を見たい
という場合は、一定期間現行バージョンを使い続けるという判断もあります。
重要なのは、「何となく更新しない」のではなく、変更内容を理解した上で判断することです。
まとめ
EAのアップデートは、基本的には適用することをおすすめします。
しかし、重要なのは「最新版だから使う」のではなく、「なぜアップデートされたのか」を理解することです。
EA-Labでも、凜・AXIS・GENESISを開発する中で、何度も改善と検証を繰り返してきました。
その経験から感じるのは、小さな修正でも長期運用では大きな差になることがある一方で、「改善したつもり」が逆効果になるケースもあるということです。
だからこそ、アップデート前には、
- 変更内容
- バックテスト
- フォワード結果
- 自分の運用状況
を確認し、納得した上で適用することが大切です。
EAは「最新版が最強」ではありません。
開発者がどのような意図で改善を行ったのかを理解し、自分の運用スタイルに合わせて判断することが、長期運用では最も重要だと私は考えています。
この内容を確認した後は、フォワードテストについての記事もぜひご参照いただきたいです。