EAを運用していると、「今日、雇用統計だけど止めた方がいいですか?」「FOMC前だからEAを停止した方が安全でしょうか?」という質問をいただくことがあります。
確かに重要指標の発表時は相場が大きく動くことがあります。
スプレッドが急拡大したり、価格が一気に飛んだりすることも珍しくありません。
では、そのたびにEAを停止するべきなのでしょうか。
結論から言えば、「EAの設計による」が答えです。
そして、多くの場合は「毎回裁量で停止すること」を前提に運用することはおすすめしません。
今回は重要指標とEAの付き合い方について、EA開発者の視点から解説します。
なぜ重要指標が危険と言われるのか
重要指標の発表時には、市場参加者の注文が一気に増えます。
その結果、
- スプレッドが大きく広がる
- スリッページが発生する
- 約定価格がズレる
- 短時間で大きく価格が動く
といった現象が起こります。
通常の相場では問題なく動いていたEAでも、こうした特殊な環境では想定外の動きをすることがあります。
そのため、ニュース相場を避ける運用を勧める販売者もいます。
だからといって毎回停止するべきとは限らない
一方で、毎回ニュース前にEAを止めることにも問題があります。
例えば、年間を通して重要指標は数え切れないほどあります。
- FOMC
- 米雇用統計
- CPI
- 政策金利発表
- ECB
- BOE
などを全て避けていたら、取引機会を大きく失う可能性があります。
また、EAは長期間運用することを前提に設計されています。
特定の日だけ人間が介入すると、バックテストやフォワードテストとは違う条件で運用することになります。
これでは本来の期待値も変わってしまいます。
私がEA開発で一番意識していること
GENESIS・AXIS・凜を開発する際、重要指標のある期間も含めて検証を行いました。
もちろん、ニュースだけを狙うEAではありません。
しかし、長期間バックテストを行えば、雇用統計やFOMCを含む相場も自然とデータに含まれます。
つまり、「ニュースがあるから停止する」ではなく、「ニュースも含めた長期運用でどうなるか」
を見るようにしています。
もちろん、ニュースだけで大きく負けるようなEAなら改善します。
逆に、ニュースを含めても長期的な資産曲線が安定しているなら、毎回停止する必要はないと考えています。
停止した方が良いケース
とはいえ、停止した方が良いケースもあります。
例えば、
- 高レバレッジで運用している
- 含み損を抱えたまま重要指標を迎える
- ナンピン系EAを利用している
- 販売者が停止を推奨している
このようなケースです。
特にナンピンやマーチンゲール系EAは、急変動によって想定以上にポジションが増える可能性があります。
EAの仕様を理解した上で、必要なら停止する判断も大切です。
「怖いから止める」は長続きしない
初心者の方によくあるのが、ニュースを見るたびに不安になり、毎回EAを停止してしまうことです。
しかし、これを続けると、「今日は止めよう」「今日は動かそう」という裁量が増えていきます。
すると、EAを運用しているのに、結局は自分の感情で取引している状態になります。
EAのメリットは、人間の感情を排除できることです。
そのメリットを自分で失ってしまうのは少しもったいないと感じます。
ニュースフィルター付きEAという考え方
最近では、ニュースフィルターを搭載したEAもあります。
重要指標の前後だけ自動停止する仕組みです。
こうしたEAなら、裁量で毎回止める必要はありません。
ただし、ニュース判定の仕組みが正常に動かなければ意味がありません。
また、ニュースを避けることで利益機会を逃す可能性もあります。
ニュースフィルターがあるから優秀、という単純な話ではないことも理解しておきましょう。
一番大切なのは長期目線
EA運用では、1回のニュースより、何百回という取引全体を見ることが重要です。
例えば、今回の雇用統計で損失になったとしても、年間で見れば誤差になることもあります。
逆に、ニュースを避け続けた結果、利益が大きく減るケースもあります。
短期の結果だけではなく、長期で期待値を考えることが重要です。
こちらの記事でも紹介していますが、EAは短期間では評価できません。
また、ニュース相場ではドローダウンも一時的に大きくなることがあります。
そのため、事前に許容できるリスクを把握しておくことも重要です。
まとめ
重要指標前にEAを停止するべきかという問いに対して、一律の正解はありません。
重要なのは、EAがニュースを想定した設計になっているか、そして自分がそのEAの特徴を理解しているかです。
私自身、3つのEAを開発する中で、重要指標を含む長期間のバックテストとフォワードテストを繰り返してきました。
だからこそ、「ニュースだから止める」というよりも、「ニュースを含めても長期で期待値があるか」を重視しています。
EAは短期の勝敗ではなく、長期で期待値を積み重ねる運用が基本です。
ニュースに一喜一憂するよりも、資金管理とEAの特性を理解し、長い目で運用していくことが成功への近道だと考えています。