EAを見ていると、多くの人は「結果」に目がいきます。
- PFはいくつか
- 勝率は高いか
- 月利はどれくらいか
- 右肩上がりか
もちろんそれも重要です。
ですが、EA開発者側は、実はもっと違うものを見ています。
むしろ、数字そのものよりも、「なぜその数字になっているのか」をかなり重視しています。
今回は、EA-LabでGENESIS・凜(RIN)・AXISを開発してきた中で、実際にどんな思考でEAを作っているのかを公開します。
たぶん、多くの人が想像しているより、かなり地味です。
そして、かなり「負け」を見ています。
EA開発は「勝ち方」より「死に方」から始まる
まず、多くの人が誤解しているのがここです。
EA開発というと、「どうやって勝つか」を考えているイメージが強いと思います。
ですが、実際は逆です。
最初に考えるのは、「どうやって死ぬか」です。
例えば、
- 急変動で壊れないか
- レンジで削られすぎないか
- 連敗で破綻しないか
- スプレッド拡大に耐えられるか
- 相場変化で機能停止しないか
まずここを見る。
EA-Labでも、GENESIS開発時は「どう勝つか」より、「どう崩れるか」をかなり分析しました。
これは実運用を前提にすると避けて通れません。
なぜなら、相場は必ずこちらの想定を壊してくるからです。
最初に見るのは「相場の癖」
EAを作る時、最初にやるのはコードを書くことではありません。
まず見るのは、「相場の癖」です。
例えば、
- ロンドン時間で伸びやすい
- 特定曜日で偏りがある
- トレンド発生時に継続しやすい
- 一定時間帯だけボラが変わる
こうした特徴を観察します。
GENESISなら、GBPUSDのロンドン時間帯のブレイク特性。
凜なら、時間帯ごとの値動きの偏り。
AXISなら、トレンド継続時の伸び方。
最初は本当に地味な観察作業です。
ロジック設計についての詳しいお話しはこちら。
チャートを見続ける。
データを見る。
異常値を見る。
これを延々繰り返します。
「強い条件」を探しているわけではない
ここもかなり重要です。
EA開発というと、「勝てる条件探し」だと思われがちです。
ですが実際は、「長期で崩れにくい条件探し」に近いです。
例えば、条件を厳しくすれば、バックテストは簡単に綺麗になります。
- この曜日だけ
- この時間だけ
- このボラだけ
こうやって絞れば、PFも勝率も上がる。
ですが、未来では崩れやすくなる。
これはGENESISでも凜でも何度も経験しました。
だからEA-Labでは、強さより余白を重視しています。
多少ズレても死なないこと。
これがかなり重要です。
EA販売者が本当に怖いもの
実は、EA販売者が一番怖いのは「負け」ではありません。
本当に怖いのは、「再現しないこと」です。
例えばバックテストで綺麗でも、
- フォワードで崩れる
- リアルで滑る
- 別ブローカーでズレる
これが起きると、EAとして成立しなくなります。
だからEA-Labでは、
- バックテスト
- デモ
- リアルフォワード
の整合性をかなり重視しています。
AXIS開発時も、バックテストだけならもっとPFを上げられました。
ですが、その状態だとリアルでズレやすくなる。
結果的に、あえて余裕を残した設計にしています。
「綺麗な数字」を疑う癖がつく
EAを開発していると、逆に綺麗すぎる数字を疑うようになります。
例えば、
- PF2.5
- DD3%
- 勝率85%
- 右肩上がり一直線
こういうもの。
もちろん本当に優秀なケースもゼロではありません。
ですが、多くの場合、
- 取引回数不足
- 過剰最適化
- 特定相場依存
- 未来耐性不足
が潜んでいます。
実際、GENESIS開発でも、PF1.5以上を出せるパターンはありました。
ただ、そういうものほど未来で崩れやすかった。
だからEA-Labでは、PF1.2前後をかなり現実的なラインとして見ています。
PF1.2について、数値としての判断をまとめた内容はこちら。
凜(RIN)開発で痛感した「削る難しさ」
凜は、かなり引き算が難しかったEAです。
アノマリー系は、条件を足せば足すほど綺麗になります。
ですが、その分、
- 再現性
- 柔軟性
- 未来耐性
が落ちる。
開発途中では、「この条件を追加すればもっと勝てる」という場面が何度もありました。
ですが最終的には、かなり削っています。
削った内容と理由についてはこちらをご参照ください。
理由はシンプルで、残しすぎると壊れるから。
これは実際に開発しないと、なかなか見えない感覚かもしれません。
EA開発は「諦める作業」でもある
意外かもしれませんが、EA開発は捨てる作業でもあります。
- もっと利益を伸ばしたい
- もっとPFを上げたい
- もっとDDを減らしたい
こう思っても、全部は取れません。
例えば、
PFを上げる
↓
取引回数が減る
↓
再現性が落ちる
DDを減らす
↓
利益も減る
利益を伸ばす
↓
急変動耐性が落ちる
こうしたトレードオフが必ずあります。
だからEA開発は、「どこで妥協するか」を決める作業でもあります。
AXISで固定ロットを選んだ理由
AXIS開発では、ロット設計でもかなり悩みました。
最初は可変ロットも検討しています。
ですが、実際に検証していくと、
- 相場依存性
- 急変時リスク
- 資金変動の荒さ
が大きくなりやすかった。
結果的に、「固定ロットの方が再現性が高い」という判断になりました。
固定ロットについて詳しくはこちら。
これは見栄えだけなら、可変ロットの方が良い場面もあります。
ですがEA-Labでは、綺麗さより壊れにくさを優先しています。
EA販売者は「未来」を見ている
これはかなり大事です。
バックテストは過去です。
ですが、EA販売者が本当に見ているのは未来。
つまり、「このEAは3年後も動いているか?」です。
- 相場変化に耐えられるか
- 急変動で死なないか
- ブローカー環境が変わっても崩れないか
ここを見る。
EA-Labで深めるを重視しているのも、ここが理由です。
数を増やすより、長く生き残るEAを作りたい。
その思想がかなり強いです。
EA-Labの考え方についてはこちらもご参照ください。
「勝てるEA」より「続けられるEA」
これは運用者側にも関係します。
実際、どれだけ優秀なEAでも、
- DDに耐えられない
- 途中停止する
- ロットを変える
- 不安で外す
これをやると崩れます。
だからEA-Labでは、「続けられる設計」をかなり重要視しています。
GENESISも凜もAXISも、派手さより継続性を優先しています。
開発者が最後に見ているもの
最終的に、EA開発者が見ているのは「数字」ではありません。
見ているのは、
- 再現性
- 継続性
- 壊れ方
- 未来耐性
- 運用しやすさ
です。
バックテストは、その確認材料のひとつに過ぎません。
本当に重要なのは、「リアルで長く生き残れるか」。
EA-Labでは、そこをかなり重視しています。
まとめ
EA販売者は、単純に「勝てる条件」を探しているわけではありません。
実際には、
- どう崩れるか
- どこまで耐えられるか
- 未来でも再現するか
をかなり重視しています。
GENESIS・凜・AXISの開発でも、最終的に残ったのは、綺麗すぎないが、生き残れるロジックでした。
EAは、短期で爆発するものより、「長く壊れないもの」の方が、最終的には価値があります。
バックテストの数字だけではなく、その裏側にある設計思想まで見えるようになると、EA選びの精度はかなり変わってきます。