EAを探していると、多くの販売ページには似たような数字が並んでいます。
- 勝率
- PF
- 月利
- 最大ドローダウン
そして、綺麗な右肩上がりの資産曲線。
一見すると十分な情報が公開されているように見えます。
ですが、EAを実際に開発している立場から見ると、「そこじゃないんだけどな…」と思うことが少なくありません。
なぜなら、本当に重要な数字ほど公開されていないことが多いからです。
もちろん、意図的に隠しているケースもあれば、単純に利用者が見ないから載せていないケースもあります。
ですがEA選びで失敗したくないなら、表面の数字だけで判断してはいけません。
今回は、GENESIS・凜(RIN)・AXISの開発を通して見えてきた、「販売ページでは目立たないけれど本当に重要な数字」を解説します。
勝率は公開されるが、その中身は公開されない
まず代表例が勝率です。
例えば、
勝率80%
と書かれていたとします。
初心者の頃の私なら、「めちゃくちゃ勝ってるじゃん」と思っていたはずです。
ですが今なら最初にこう考えます。
「何回のトレードで?」です。
勝率80%でも、10回中8勝なのか、1000回中800勝なのかで意味が全く違います。
実際、GENESIS開発中も条件を絞れば勝率80%近くになることはありました。
ですが取引回数が激減する。
結果として再現性が下がる。
だから最終的には採用しませんでした。
勝率を見る時は、必ず取引回数とセットで見る必要があります。
トレード回数についてはこちらも参考にしてください。
PFだけ見せて取引回数を見せない
これも非常に多いです。
例えば、
PF2.0
という数字。
一見すると素晴らしく見えます。
ですが、
・取引回数50回
・期間10年
ならどうでしょう。
統計的にはかなり弱いです。
実際、EA開発ではPFを上げること自体はそこまで難しくありません。
条件を厳しくすれば簡単に上がります。
しかし、
・未来でも再現するか
・サンプル数は十分か
は別問題です。
EA-LabでPF1.2前後を重視しているのも、取引回数や再現性を重視しているからです。
最大DDの「期間」が公開されない
販売ページで最大DDはよく見ます。
例えば、
最大DD10%
という数字。
最大DDについて詳しくはこちら。
ですが本当に知りたいのは、「どれくらいの期間苦しんだか」です。
例えば、10%DDが3日で回復したEAと、10%DDが半年続いたEAでは全く意味が違います。
運用者が途中で停止するのは、多くの場合DD率ではありません。
停滞期間です。
実際、凜のフォワードでも停滞期間はありました。
ですが想定内でした。
重要なのは、「その停滞が異常なのか」を判断できることです。
月利は公開されるがリスクは公開されない
これは業界全体の課題かもしれません。
月利20%
月利30%
月利50%
こうした数字はよく見ます。
ですが、その裏でどれだけリスクを取っているかはあまり語られません。
例えば、
- ロット倍率
- レバレッジ
- DD
- 資金管理
によって月利は簡単に変わります。
極端な話、ロットを10倍にすれば月利も10倍近くになります。
つまり、月利が高い=優秀ではありません。
GENESIS・凜・AXISでも、ロットを上げれば数字はもっと派手になります。
ですが、それはEAが優秀になったわけではありません。
フォワードとの乖離率
実は開発者がかなり重視している数字です。
ですが販売ページではあまり見かけません。
例えば、
バックテストPF1.3
フォワードPF1.25
なら優秀です。
逆に、
バックテストPF2.0
フォワードPF0.9
なら危険です。
EA-Labでフォワードを重視している理由もここにあります。
本当に強いEAは、バックテストとリアルが極端にズレません。
フォワードテストの見方について詳しくはこちら。
開発者が見ているのは「崩れ方」
GENESIS開発時に特に意識していたのがこれです。
勝つ時ではなく、負ける時を見る。
例えば、
- 連敗数
- DD発生条件
- 急変動時
- スプレッド拡大時
ここを見ています。
販売ページでは、「最大利益」は載っていても、「最悪ケース」はほとんど載っていません。
ですが運用者にとって重要なのは後者です。
凜(RIN)で重視した停滞期間
凜はアノマリーEAです。
アノマリー系はどうしても相場との相性があります。
そのため開発中は、「何ヶ月停滞する可能性があるか」をかなり見ました。
これはPFや勝率だけではわかりません。
むしろ、停滞期間の方が精神的には辛い。
EA販売ページでここまで説明されているケースは多くありません。
ですが、実際の運用ではかなり重要です。
AXISで重視した取引の偏り
AXISはトレンドフォロー型です。
そのため、利益の大半が数回の大勝ちという構造になりやすい。
この時見るべきなのが、利益分布です。
例えば、100回トレードして、利益の80%が3回で作られている。
こうした特徴を理解していないと、その3回を逃しただけで期待値が変わります。
ですが、この数字も販売ページには載りません。
本当に見るべきバックテスト項目
EA-Lab視点で重要度が高い順に並べると、
①取引回数
②最大DD
③PF
④フォワードとの整合性
⑤停滞期間
⑥利益分布
⑦勝率
くらいのイメージです。
意外かもしれませんが、勝率はそこまで上位ではありません。
なぜなら勝率だけでは何も判断できないからです。
バックテストの見方についてはこちらでも詳しく解説しています。
公開されていない数字を想像する
EA選びで大切なのは、書かれている数字を見ることではなく、書かれていない数字を想像することです。
例えば、
PF2.0
を見たら、
- 取引回数は?
- 期間は?
- フォワードは?
- DD期間は?
と考える。
これだけでも見える世界はかなり変わります。
数値の見方についてはこちらでも解説しています。
EA-Labが数字を出す時に考えていること
GENESIS・凜・AXISを作る中で、私たちが意識しているのは、「良い数字を見せること」ではありません。
「運用者が判断できる情報を出すこと」
です。
だから、PFだけではなく、
- 取引回数
- DD
- フォワード
- ロジック特性
まで説明するようにしています。
実際に運用する人にとって大事なのは、綺麗な数字ではなく、現実だからです。
まとめ
EA販売ページで公開される数字は、あくまで一部です。
本当に重要なのは、
- 取引回数
- DD期間
- フォワード整合性
- 利益分布
- 停滞期間
などの「見えない数字」です。
GENESIS・凜・AXISを開発してきて感じるのは、強いEAほど派手な数字ではなく、地味な数字の積み重ねで評価されるということです。
バックテストを見る時は、「何が書かれているか」だけでなく、「何が書かれていないか」にも注目してみてください。
それだけでEA選びの精度は大きく変わります。