EA運用を始めてしばらくすると、多くの人が一度は考えることがあります。
「EAは複数本に分散した方が良いのでは?」
これは正しい考え方です。
実際、投資の世界では分散投資が基本です。
1つのEAだけに資金を集中すると、そのEAが苦手な相場に入った時、大きなドローダウンを経験する可能性があります。
しかし、ここで勘違いしてはいけません。
EAは増やせば増やすほど良いというものではありません。
私たちもGENESIS・AXIS・凜という3つのEAを開発しましたが、最初から「本数を増やすこと」を目的にしていたわけではありません。
むしろ、「1本では対応できない相場環境を補完する」という考え方で開発を進めてきました。
今回は、EAを何本まで増やすべきなのか、分散しすぎることで発生するリスクについて解説します。
EAを複数本運用するメリット
まず、なぜ複数EA運用が有効なのかを理解しておきましょう。
1つのEAには必ず弱点がある
どんなに優秀なEAでも、すべての相場で勝ち続けることはできません。
例えば、
- トレンド相場が得意なEA
- レンジ相場が得意なEA
- ボラティリティの高い相場に強いEA
など、それぞれ特徴があります。
つまり、1本だけで運用すると、そのEAが苦手な局面では資産が大きく減る可能性があります。
異なる特徴のEAを組み合わせることで安定する
ここで重要なのは「違うEAを持つこと」です。
例えば、
- トレンドフォローEA × トレンドフォローEA
- 同じ時間足のEA × 同じ時間足のEA
- 同じ通貨ペアのEA × 同じ通貨ペアのEA
このような組み合わせでは、見た目は2本でも、実質的には同じリスクを持っている可能性があります。
一方、
- ロジック
- 通貨ペア
- 取引時間
- エントリー条件
などが異なるEAであれば、片方が苦手な相場でも、もう片方が利益を出してくれる可能性があります。
これがEAポートフォリオの考え方です。
複数EAを組み合わせる基本的な考え方や、ポートフォリオ運用のメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。
では何本まで増やすべきなのか
結論から言うと、一般的な個人投資家なら、3〜5本程度が現実的なラインだと私は考えています。
もちろん資金量や経験によって変わります。
しかし、10本、20本と増やしていくことには注意が必要です。
3本程度でも十分な分散効果は得られる
私たちがGENESIS・AXIS・凜の3本を開発した理由もここにあります。
それぞれ、
- 得意な相場
- 取引スタイル
- リスク特性
が異なります。
重要なのは「3本あること」ではなく、違う役割を持っていることです。
例えば、同じロジックのEAを5本持つより、性格の違うEAを3本持つ方が、分散効果は高い可能性があります。
管理できる本数にも限界がある
EAは完全放置ではありません。
運用中には、
- ドローダウンが想定内か
- フォワード実績から大きくズレていないか
- 相場環境が変化していないか
などを確認する必要があります。
これが10本、20本になるとどうでしょうか。
毎日の確認だけでも大きな負担になります。
本来なら停止すべきEAを、管理しきれずに放置してしまう可能性もあります。
EAを長期運用するためには、ドローダウンが発生した時にどう判断するかという基準を持っておくことも重要です。
分散しすぎることによるデメリット
「分散=安全」
というイメージがありますが、過度な分散には問題もあります。
資金効率が悪くなる
例えば100万円の資金を10本のEAに分けると、1本あたり10万円です。
EAによっては十分な証拠金を確保できず、
- ロットを下げすぎる
- 本来の成績が出せない
- 少しのドローダウンで停止せざるを得ない
という状態になることがあります。
本当に優秀なEAの利益を薄めてしまう
もう一つの問題があります。
それは、「何でも入れることで平均的になる」ということです。
例えば、優秀なEAが3本ある状態に、性能の低いEAを7本追加した場合、全体の成績が改善するとは限りません。
分散は、良いEA同士を組み合わせることで意味があります。
「本数を増やすこと」自体を目的にしてはいけません。
EAを追加する前に確認するべきこと
新しいEAを購入する前に、私は以下を確認します。
① 既存EAと役割が違うか
最も重要なポイントです。
同じような相場で勝ち、同じような相場で負けるEAなら、追加する意味は小さくなります。
② 十分な検証がされているか
新しいEAを追加する際は、販売者が公開している利益だけを見るのではなく、その実績の中身を確認する必要があります。
どれだけ魅力的な成績でも、
- バックテスト
- フォワード実績
- 取引回数
- 最大ドローダウン
を確認する必要があります。
特にフォワード実績は、長い期間公開されているほど良いという単純なものではありません。
新しいEAを追加することで、逆にポートフォリオ全体のリスクが上がることもあります。
③ 資金配分まで考えられるか
EAを購入する前に、「どのくらいのロットで運用するのか」まで考える必要があります。
購入してから考えるのでは遅い場合もあります。
GENESIS・AXIS・凜を開発して感じたこと
3本のEAを開発する中で、私たちが一番意識したことは、「本数を増やすこと」ではありませんでした。
もし利益だけを追求するなら、GENESISのパラメータ違いを何本も作るという方法もあります。
しかし、それでは本当の分散にはなりません。
だからこそ、「GENESISでは苦手な場面を補えるもの」「違う性格を持ったEA」という視点でAXISや凜の方向性を考えていきました。
これは実際に複数EAを作ったからこそ分かったことです。
EAの本数ではなく、組み合わせの質こそが重要なのです。
まとめ
EAの分散運用は非常に有効な考え方です。
しかし、増やせば増やすほど安全になるわけではありません。
目安としては、
- 初心者:1〜3本
- 中級者以上:3〜5本
程度から始めるのが現実的でしょう。
そして重要なのは、
- 本数ではなく役割の違い
- 相関性の低さ
- 十分な資金管理
- 管理できる範囲での運用
です。
EAは「コレクション」ではありません。
良いEAを大量に集めることではなく、違う特徴を持つEAを組み合わせ、全体として安定した資産運用を目指すことが大切です。