「VPSって絶対に必要ですか?」
EA運用を始めようとしている人からよく聞かれます。
結論から言います。
自宅PCでもEAは動きます。ただし本気で長期運用するなら、VPSを使った方が良いです。
ただし「VPSさえ使えば安心」という話でもありません。VPSにもデメリットがあります。コストもかかります。
EA-LabでもGENESIS・凜・AXISの運用環境を整える過程で、VPSについて色々と向き合ってきました。自宅PC運用との違い、VPSを選んで良かった点、気をつけるべき点を、実体験をもとに正直にお伝えします。
VPSとは何か
VPS(Virtual Private Server)とは、インターネット上で24時間365日稼働し続けるレンタルサーバーです。
EA運用においては、このVPS上にMT5をインストールしてEAを動かします。
通常のPC運用との違いはシンプルです。
自宅PCの場合、PCの電源が入っているときだけEAが動きます。VPSの場合、自分のPCを閉じていても、寝ていても、外出していても、VPS上のEAは動き続けます。
これがVPSの本質的な価値です。
VPSの基本についてはこちらで解説しています。
自宅PCでEAを動かすことの問題点
「自宅PCでも動くなら別にいいのでは」という考え方もあります。実際、自宅PCでEA運用している人もいます。
しかし自宅PC運用には、長期運用を考えたときに無視できない問題があります。
①PCをシャットダウンするとEAが止まる
PCを再起動したとき・シャットダウンしたとき・スリープに入ったとき、EAは止まります。
止まっている間にエントリーサインが出ても、EAは反応できません。バックテストで想定している取引機会を逃すことになります。
②停電・通信障害でポジションが放置される
これが最も危険なケースです。
ポジションを持った状態でPCがクラッシュしたり停電が起きたりすると、ポジションが放置されます。SLは注文として出ているので最終的には機能しますが、その間のロスは防げません。
③インターネット接続の不安定さ
自宅の回線が不安定な時間帯があると、EAの動作に影響することがあります。約定タイミングがズレたり、最悪の場合注文が通らなかったりするリスクがあります。
④PCのパフォーマンス低下
自宅PCで他の作業をしながらMT5を動かすと、PCのリソースを奪い合います。MT5の動作が重くなることがあります。
VPSで動かすメリット
VPSでEAを動かすことで、上記の問題がほぼ解消されます。
①24時間365日稼働
VPSは常時稼働が前提のサービスです。自分のPCを閉じていても、電源を切っていても、EAは動き続けます。
EA-LabのGENESIS・凜・AXISも、VPS上で24時間稼働させています。深夜の時間帯に凜がエントリーするアノマリーも、VPSがあるから取りこぼしなく機能します。
②安定したネット環境
VPS業者は高品質なネット回線を使っています。自宅回線より安定した接続が期待できます。
③PCへの負荷がなくなる
VPSでEAを動かすと、自宅PCのリソースを使いません。自宅PCで他の作業をしながら、VPS側でEAが独立して動き続けます。
④万が一のPCトラブルに強い
自宅PCが壊れても、VPS上のEAは影響を受けません。PCを修理・交換している間もEAは動き続けます。
VPSのデメリットを正直に言う
VPSには明確なデメリットもあります。アフィリエイト目的のブログだと「VPSは必須!」という推しが強くなりがちですが、正直に書きます。
①毎月コストがかかる
VPSは月額料金が必要です。EA運用向けのVPSは月1,000〜3,000円程度が多いです。
年間で1〜4万円程度のコストになります。少額資金でEAを始める場合、このコストが運用成績に与える影響を考慮する必要があります。
②初期設定が必要
VPSを契約してすぐにEAが動くわけではありません。VPS上にMT5をインストールして、EAをセットして、設定を確認する作業が必要です。PC操作に慣れていない方には少しハードルがあります。
③VPS自体のトラブルリスク
VPS業者のサーバーがダウンすることは稀ですが、ゼロではありません。VPS業者を選ぶときは稼働率(アップタイム)の実績を確認することが重要です。
④過信は禁物
VPSを使っていても、定期的な確認は必要です。「VPSに任せれば完全放置でOK」という発想は危険です。EA-LabでもVPS運用中でも定期的にフォワードの状態を確認しています。
EA-LabがVPSを選んだ理由
EA-LabでVPSを使い始めた直接のきっかけは、GENESIS開発初期のローカルPC運用でのトラブルです。
フォワードテストを開始してしばらくした頃、ローカルPCが予期せずスリープに入りEAが止まっていたことがありました。
止まっていた時間に、GENESISのエントリーサインが出ていました。バックテストでは取れていたはずのトレードを丸ごと逃しました。
金額的な損失は小さかったですが、このときに「ローカルPC運用ではフォワードテストの信頼性が担保できない」と判断しました。
フォワードテストはバックテストとの比較が目的です。EAが正常に動いていない状態でのフォワードデータは、正確な比較の役に立ちません。
フォワードの信頼性を確保するためにVPSは必要という結論に至りました。
凜の深夜アノマリーがVPSなしでは取れない
凜のアノマリーは特定の時間帯に集中してエントリーします。
その時間帯の中に、深夜〜早朝の時間帯が含まれています。
自宅PCで運用していたら、この時間帯のエントリーを安定して取ることができません。深夜にPCをつけたままにしておくのは現実的ではありませんし、スリープ設定を切っていても電力消費が無駄になります。
VPSがあるから、深夜に寝ていてもアノマリーのエントリーが取れます。
EAのロジックを設計通りに機能させるためには、24時間稼働できる環境が前提になります。
これはEAの種類によらず共通して言えることです。
VPSを選ぶときのポイント
VPSの選び方についてはこちらで詳しく解説しています。
ここでは特に重要なポイントだけ補足します。
①ブローカーのサーバーと物理的に近いものを選ぶ
VPSとブローカーのサーバーの距離が近いほど、注文の往復時間(レイテンシ)が小さくなります。約定スピードと品質に影響します。
②稼働率99.9%以上のものを選ぶ
信頼できるVPS業者は稼働率を公開しています。99.9%以上を目安にしてください。
③EA運用に必要なスペックを確認する
MT5を動かすだけであれば、高スペックは必要ありません。メモリ2GB・ストレージ30GB程度あれば十分です。
自宅PCとVPS、どちらを選ぶべきか
整理すると以下の通りです。
自宅PCで良いケース
お試しで少額から動かしてみたい場合、日中PCをつけっぱなしにできる環境がある場合、まずコストをかけずに始めたい場合。
ただし自宅PC運用のフォワードデータは信頼性が下がることを理解した上で運用してください。
VPSを使うべきケース
本格的に長期運用するつもりがある場合、深夜・早朝にエントリーするロジックのEAを使う場合、フォワードテストの信頼性を確保したい場合。
EA-Labの結論としては「本気でEAを運用するならVPSは必須」です。月1,000〜2,000円程度のコストで運用環境の信頼性が大幅に上がるなら、投資対効果は十分です。
EA運用の環境構築については、こちらのガイドも参考にしてください。
まとめ
VPSのメリットとデメリットを正直にまとめます。
メリットは24時間稼働・安定した接続・PCへの負荷なし・トラブルへの耐性です。
デメリットは月額コスト・初期設定の手間・VPS自体のトラブルリスクです。
EA-LabがVPSを選んだ理由は「フォワードテストの信頼性を確保するため」です。EAのロジックを設計通りに機能させるには、24時間安定して稼働できる環境が前提になります。
自宅PCでもEAは動きます。しかし長期運用を本気で考えるなら、VPSは早めに導入することをすすめます。
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EAを評価する際は、プロフィットファクター(PF)だけでなく、最大ドローダウン(DD)や取引回数など複数の指標を総合的に確認することが重要です。まずはこちらの記事をご覧ください。
